民泊の予約サイト(OTA)と自社予約、どう使い分ける?集客チャネルの考え方
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執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
下田の宿の運営データでは、予約サイト(OTA=オンライン旅行会社)の手数料は売上の約14〜15%でした。開業直後にレビューを集めた経緯と、自社予約を育てる順番、民泊新法の届出住宅で守るルールを紹介します。
この記事のポイント
- 予約サイトに任せると、1万円の宿泊で約1,400〜1,500円が引かれます。下田の宿の手数料は、売上の約14〜15%でした。1年目は約14%、2年目上半期は約15%です。
- 開業直後は、予約サイトで評価を集めると始めやすくなります。レビューは泊まった人の評価です。安めの料金で始め、高評価が5件ほどたまってから段階的に上げています。
- 民泊の予約の取り次ぎは、登録業者に任せる決まりです。民泊新法の届出住宅は、登録を受けた住宅宿泊仲介業者(予約サイトの運営会社)か旅行業者に任せます。登録は66件です(2026年9月15日時点)。
- 自社予約は、手数料の削減より、リピーターづくりに向いています。自社予約は自分の公式サイトなどでの直接予約です。手数料を減らす手段というより、リピーターと直接つながる手段と考えます。
予約サイトの手数料は、売上のどれくらい?
予約サイトに任せると、1万円の宿泊で約1,400〜1,500円が引かれる計算です。創業メンバーが下田で運営する宿では、予約サイト(OTA、Airbnb のようなオンライン旅行会社)の手数料は売上の約14〜15%でした。清掃の委託(1年目で約16%)と並ぶ、大きな費用です。
約14%1年目売上に対する割合
約15%2年目上半期売上に対する割合
※ 私たちの宿の運営データです。予約サイトの手数料の合計です。サイトごとの率は、各サイトの規定によります。
2年目は、客室単価(1泊の平均料金)が1年目の約1.4倍に上がりました。単価が上がるほど、売上に連動する手数料の金額も増えます。15%は、世界中の旅行者に見つけてもらうための費用と考えると、判断しやすくなります。
数字の見方は、「稼働率・客室単価・RevPARとは?」で説明しています。
開業直後は、なぜ予約サイトから始めるのか?
開業直後は、予約サイトで評価を集めると始めやすくなります。開業したばかりの宿でも、すぐに旅行者に見つけてもらえて、レビューを積めるからです。検索、決済、多言語対応、レビューの仕組みがそろっているため、海外からの予約も受けやすくなります。
私たちの宿では、許可番号を取ってから、Airbnb で予約を受け始めました。許可番号がないと、予約を受けられないためです。初めてのゲストから★5の評価をもらい、夏の需要(海水浴・サーフィン)を逃さないよう、開業から早い時期に Airbnb のスーパーホスト(評価の高い宿主に与えられる称号)の要件を満たしました。
料金は、開業直後は安めに設定してレビューを集め、高評価が5件ほどたまってから段階的に上げました。レビューが積み上がるほど、同じ稼働率(部屋が埋まる割合)でも単価を上げやすくなります。海外のゲストには、自動翻訳と日英の定型文、過去の質問をまとめたAIチャットボットで対応しています。
民泊新法の届出住宅の場合
民泊の予約の取り次ぎは、登録業者に任せる決まりです。予約の仲介を他人に委託するときは、登録を受けた住宅宿泊仲介業者(予約サイトの運営会社)か旅行業者に委託します。仲介業者の登録は66件です(2026年9月15日時点)。登録の有無は、観光庁の民泊制度ポータルサイトのリストで確認できます。
一方で、サイトの規約や検索順位の仕組みが変わると、予約の入り方が大きく変わります。予約を一つのサイトに頼り切らないことも、自社予約を育てる理由の一つです。
自社予約は、いつから・何をして育てる?
自社予約は、手数料の削減より、リピーターづくりに向いています。育てはじめるのは、レビューとリピーターが生まれてからです。公式サイト、SNS、リピーターへの案内、Googleビジネスプロフィールの4つを、予約サイトの規約の範囲で整えます。
- 公式サイトを用意する:宿の雰囲気、設備、アクセスが伝わるページと、予約フォームを用意します。私たちの宿にも、施設サイトがあります。
- SNSで日常を発信する:季節の風景や周辺の店の紹介など、宿の外の魅力も伝えます。
- リピーターに声をかける:一度泊まった方に、次回の直接予約の案内を送ります。各サイトの規約の範囲で行います。
- Googleのビジネスプロフィール(地図検索に出る宿の紹介欄)を整える:地図検索から宿を見つけてもらう入口になります。
自社予約で浮く金額は、思ったより小さいかもしれません。たとえば(仮の数字)、月の売上が40万円で、その2割が自社予約に替わり、手数料が15%だとすると、浮くのは月1.2万円です。
だから、自社予約は、手数料を減らす手段というより、リピーターと直接つながる手段として育てるものだと考えます。まずは、予約サイトでのレビューと客室単価を整えるほうが、売上への効果は大きくなります。
掲載ページの作り方は、「予約が入る宿のページのつくり方」で説明しています。
予約サイトと自社予約の比率は、どの順で調整する?
宿の成長に合わせて、予約サイト中心から、自社予約を足す形へ、3段階で進めます。
- 開業初期:予約サイトを中心に予約を集め、レビューを積み上げます。目安は高評価5件です。
- 安定期:公式サイトやSNSを整え、リピーターや紹介からの直接予約を増やします。
- 成熟期:チャネルごとの売上と手数料を毎月記録し、比率を見直します。
複数のチャネルで販売する場合は、サイトコントローラー(複数サイトの空室と料金をまとめて管理するソフト)などで一元管理し、ダブルブッキング(二重予約)を防ぎます。自社サイトで予約を受けるなら、予約サイトとの在庫連携ができる、宿泊施設向けの予約システムを選びます。
手数料の記録は、「予約サイトの手数料 ÷ 売上」で割合を出すだけでかまいません。私たちの宿の14%から15%への動きのように、割合の変化に気づけます。
レビューへの対応は、「レビューの評価を上げる宿のゲスト対応」で説明しています。
まとめ:予約サイトは入口、自社予約は関係づくり
予約サイトは、新しい旅行者との出会いの入口です。自社予約は、一度泊まった人との関係を続ける場です。どちらか一方に決めずに、宿の成長段階で組み合わせます。
私たちの宿では、開業直後は予約サイトで安めの料金からレビューを集め、2年目に客室単価を上げました。手数料は売上の約15%かかります。この費用は集客力の対価と見て、リピーターを通じて自社予約を足していくのがよいと考えます。
最初の一歩は、毎月、手数料の割合を記録することです。掲載ページの作り方は「予約が入る宿のページのつくり方」、レビューへの対応は「レビューの評価を上げる宿のゲスト対応」で説明しています。
よくある質問
Q最初はどの予約サイトに掲載すべきですか?
A想定する旅行者(国内・海外、家族・一人旅など)で向いているサイトが異なります。私たちの宿は、海外のゲストが中心のため Airbnb で始めました。主要なサイトを一つか二つ選び、反応を見ながら広げます。
Q自社サイトの予約は、どうやって受け付ければよいですか?
A宿泊施設向けの予約システムを使えば、空室の表示や決済を自社サイトに組み込めます。予約サイトとの在庫連携ができるものを選ぶと、ダブルブッキングを防げます。
Q予約サイトの手数料を下げる方法はありますか?
A手数料率そのものは、サイトの規定によります。私たちの宿では、売上の約14〜15%でした。自社予約の比率を高めると手数料は減りますが、金額の効果は売上の規模で決まります。レビューと客室単価の改善と合わせて考えます。
Q民泊新法の届出住宅は、どのサイトに掲載できますか?
A予約の仲介を委託するときは、登録を受けた住宅宿泊仲介業者か旅行業者です。登録の有無は、観光庁の民泊制度ポータルサイトで確認できます。この登録の仕組みは、住宅宿泊事業法の届出住宅に関する決まりです。
参考資料(4件)
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。