賃貸で民泊を始めるには?転貸の承諾書と管理規約の確認手順
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読了目安 約10分
執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
賃貸の部屋で民泊を始めるには、貸主の承諾が先です。転貸とは何か、承諾書に決まった様式はあるか、マンションの管理規約で何を確かめるか。観光庁の手続きページをもとに、順番を初心者向けに整理します。
この記事のポイント
- 届出(民泊新法)で始めるなら、貸主の承諾が先です。届出には、承諾を示す書類を添えます。
- 承諾書に決まった様式はありません。ただし「民泊を行ってよい」と明記が必要です。
- 又借りの物件なら、2人の承諾が要ります。持ち主と、間に入っている貸主の両方です。
- マンションは、管理規約を先に確かめます。定めがなければ、追加の書類が要ります。
- 旅館業の許可で始める場合、書類の求め方は別です。保健所への事前相談で確かめます。
「転貸」とは何?借りた部屋で民泊をしてよい?
転貸(てんたい)とは、借りた家を、さらに別の人に貸すことです。届出(民泊新法)で民泊を始めるなら、貸主が民泊を目的とした転貸を承諾しているかを、先に確かめます。「届出」とは、住宅宿泊事業法にもとづき、都道府県知事等に民泊を始めると知らせる手続きのことです。
観光庁の手続きページは、届出の前に確かめることとして、貸主が民泊を目的とした転貸を承諾しているかを挙げています。宿泊者に部屋を貸す民泊は、借りた家をさらに人に貸す形なので、転貸と同じ扱いになる、というのが私たちの理解です。
※ 観光庁のページの記述は、いずれも2026年に閲覧した内容です。
3者の関係
- 01
持ち主(賃貸人)
部屋を貸している人
- 02
民泊をする本人(賃借人)
持ち主から借りる
- 03
宿泊者
民泊として貸す相手
矢印の間は、持ち主が本人に「貸す」、本人が宿泊者に「民泊として貸す」関係です。
呼び方が多いので、先に表にまとめます。ここでは、民泊をする本人が、どう借りているかで分けます。
賃貸人は部屋の持ち主で、貸している人です。転貸人は、持ち主から借りて、その部屋をさらに別の人に貸している人のことです。この違いが、あとの「誰の承諾が要るか」を分けます。
全体の流れは民泊を始めるまでの7ステップにあります。この記事は、そのうち「借りて始める人が最初に越える承諾と規約」の部分を詳しくしたものです。
承諾書には何が書かれていればよい?決まった様式は?
届出(民泊新法)で添える承諾書に、決まった様式はありません。ただし「民泊を行ってよいか」が書面に明記されている必要があります。添付書類のページは、承諾を示す書面について「住宅宿泊事業を行うことが可能かどうか明記されている必要」があるとしています。
賃貸借契約書にその旨が明記されていれば、契約書が承諾を示す書面になります。明記がなければ、貸主などが民泊を承諾したことを示す書類を、別に用意します。つまり、契約書に「転貸可」とあるだけで足りるかは、契約書の中身で変わります。確かめるのは「民泊」に当たる内容が書かれているかどうかです。
様式がないと、何を書いてもらえばよいか迷います。公式は、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」にある転貸承諾書(例)を参考に、直して使うよう案内しています。
様式がないとき、公式は何を参考にと言っているか
特定の書式は定めていないとしたうえで、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」の転貸承諾書(例)などを参考に、適宜修正して使うよう案内されています。実際に使う前に、届出先の窓口に「この書き方で足りるか」を確認してください。
親族から借りている場合も、考え方は同じです。届出の手続きのページでは、貸主が親族でも「賃借人」「転借人」に含まれると書いています。親族だからと口約束で済ませず、書面にしておくほうが、後の確認で困りません。
自分は賃借人?転借人?誰の承諾が要る?
届出(民泊新法)では、貸主から直接借りているなら持ち主の承諾、又借りの物件なら、持ち主と転貸人の両方の承諾が要ります。添付書類のページでは、届出に添える書類が立場で分かれています。
注意したいのは、又借りの場合です。目の前の貸主が「いいですよ」と言っても、その人がさらに借りている立場なら、持ち主の承諾も要ります。契約書の貸主欄が持ち主本人か、管理会社か、別の借り手かを、まず確かめます。
なお、届出はキッチン、浴室、トイレ、洗面設備のある単位ごとに行います。手続きのページによると、共同住宅は住戸ごとの届出で、住所には部屋番号も書きます。マンションの1室で始めるときは、この単位を前提にします。
マンションなら、管理規約で何を確かめる?
届出(民泊新法)の場合、まず自分の部屋の使い方を決めた管理規約の写しを見ます。民泊を認める定めがあれば追加の書類は不要で、定めがなければ追加の書類が要ります。添付書類のページが示す流れです。
管理規約とは、マンションの住人が守る決まりのことです。ここに民泊について書かれているかで、次にやることが分かれます。
管理規約(専有部分の用途)の写しを見たあと
民泊を認める定めがある
規約に、民泊を認める旨がある
民泊について定めがない
規約に、民泊の定めがない
- 次のどちらかを添える
- 様式C(管理規約に関する誓約書)
- 2017年6月以降の総会・理事会の議事録等
「定めがない」ときの追加書類は、次の2つのどちらかです。
- 様式C(管理規約に関する誓約書)。届出の時点で、民泊を禁止する方針が総会や理事会で決まっていないことを確かめた、と誓う書類です。
- 2017年6月以降の総会・理事会の議事録等。民泊新法ができた後の議事録で、禁止の方針がないことを示します。
規約に禁止の定めがなくても、管理組合に禁止の方針がないかは確認が要ります。手続きのページに、その旨の注意があります。
反対に、規約で民泊が禁止されている場合は、そのままでは始められません。「宿泊料を受けて人を宿泊させる事業」を禁じる規約も、民泊を含む扱いです。また、一定の形の民泊だけを認める規約なら、それ以外の形は禁止と解される、と公式は説明しています。
「宿泊料を受けて人を宿泊させる事業」を禁じる規約の読み方
公式は、規約の「禁止する旨の定め」に、民泊を直接禁止するもののほか、「宿泊料を受けて人を宿泊させる事業」のように民泊を含む事業を禁止するものも入る、としています。一定の形の民泊だけを可能とする規約なら、それ以外の形は禁止と解される、とも説明しています。実際にどう読むかは、管理組合または届出先の窓口に確認してください。
国土交通省は2017年8月29日、マンション標準管理規約を改正し、民泊を認める場合と禁止する場合の両方の規定例を示しました(国土交通省の報道発表)。マンションごとに、管理組合で民泊の可否を決めておくことが望ましい、という考え方です。
※ 自分のマンションの規約は、この改正とは別に、実物の写しで確かめてください。
何から順に動けばよい?旅館業の許可で始めるときは?
届出(民泊新法)で始めるなら、借りる契約より前に貸主の承諾の見込みを確かめ、そのあと規約、消防、届出の順に進みます。旅館業の許可で始める場合は、書類の求め方が別なので、保健所に事前相談します。先に契約すると、あとで承諾が取れず、家賃だけが残るおそれがあります。これは私たちの考えですが、公式の確認事項の並びとも一致します。
承諾の見込みは、借りる物件を決める前から意識しておくと動きやすくなります。
動く順番(届出の場合)
- 01
貸主の承諾の見込みを確かめる
契約より前
- 02
マンションなら管理規約を確かめる
規約の写しを見る
- 03
消防に相談する
消防法令適合通知書の入手手続きを確かめる
- 04
届出する
旅館業で始めるなら、保健所に事前相談
消防の手順に出てくる消防法令適合通知書は、消防法令に適合していることを示す書類です。添付書類のページによると、確認の手続きは届出先の都道府県知事等に、必要な措置は管轄の消防署に確認します。くわしくは民泊の消防設備の記事にあります。
旅館業(簡易宿所)の許可で始める場合
民泊には、届出のほかに、旅館業法の許可で営業する方法もあります。観光庁の「住宅宿泊事業法(民泊新法)とは?」のページによると、届出では年間の提供日数に180日の上限があります。通年で営業したい場合は、許可を考えることになります。制度の選び方は民泊新法と旅館業法の違い、許可の進め方は簡易宿所の許可の記事にまとめています。
許可の場合に承諾の書類がどう求められるかは、事前に保健所へ相談して確かめてください。私たち創業メンバーが下田市で宿を始めたときも、開業の2か月前に保健所と消防署に事前相談をしています。
※ この記事の承諾書・様式C・議事録の話は、届出の場合の書類です。
民泊に使える賃貸物件は、どう探す?
民泊可の物件を専門に扱うサイトや地元の業者を、何十件も回って探します。取材したEさんは、見つけるまでに数か月かかりました。Eさんの体感では民泊を認める物件は少なく、貸主に聞く前の、探す段階で時間がかかったそうです。
賃貸で始めた副業オーナーの事例のEさんは、都内で働く会社員です。地方都市の賃貸マンション1室で、旅館業の許可を取って営業しています。オーナーへの取材(2025年9月〜12月)で、Eさんは「普通のアパートやマンションは民泊不可が99%」という体感を話しています。探し歩いた末に、オーナー公認で民泊ができる物件に出会ったそうです。
※ この数字は本人の体感と申告で、統計ではありません。
一方で、借りて始める利点もあります。私たち創業メンバーが下田市で始めた宿は、他の人が所有する賃貸の一軒家を、所有者の承諾を得て運営しています。物件を買わなかったので、物件の取得費はかかりませんでした。ただし、改修費や備品の費用は別にかかります。事例は下田の宿の1年目に書いています。
とはいえ、借りれば手軽に始められるわけではありません。承諾が取れなければ始められませんし、収益が出る保証もありません。
まとめ:貸主に頼む前に、3つをそろえる
貸主に頼む前に、立場、契約書の記載、規約の写しの3つをそろえておきます。承諾の話を持ちかけるときに、何を書面に残してほしいかを、はっきり伝えられるからです。
頼む前の3つ
会社員が副業で始める場合は、会社員の民泊副業の確認手順も合わせて読んでください。賃貸で始める人の流れは、副業ではじめるガイドにまとめています。
「借りて始められるか、まず相談したい」という段階から、開業・運営支援事業で相談を受けています。
※ 法律や契約の最終的な判断は、届出先の窓口や専門家に確認してください。
※ 本記事の制度は、2026年10月時点の公表資料にもとづきます。
よくある質問
Q転貸とは何ですか?
A借りた家を、さらに別の人に貸すことです。届出(民泊新法)で民泊を始める場合、観光庁は、貸主が民泊を目的とした転貸を承諾しているかの確認を挙げています。
Q転貸承諾書に決まった様式はありますか?
A届出の場合、特定の書式は定められていません。ただし、民泊を行ってよいかが明記されている必要があります(観光庁の添付書類のページ)。国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」の転貸承諾書(例)を参考に、直して使うよう案内されています。
Q契約書に「転貸可」と書いてあれば、承諾書は要りませんか?
A「転貸可」とあるだけで足りるとは言えません。公式のページによると、賃貸借契約書に民泊を行ってよい旨が明記されていれば足ります。明記がなければ、別の書類が必要です。
Q親族から借りている場合も、承諾は要りますか?
A届出の上では、貸主が親族の場合も賃借人・転借人に含まれると書かれています(観光庁の手続きのページ)。承諾が不要とは書かれていないので、書面にしておくと安全です。
Qマンションで、管理規約に民泊の定めがないときはどうしますか?
A届出の場合、様式C(管理規約に関する誓約書)か、2017年6月以降の総会・理事会の議事録等を添えます(観光庁の添付書類のページ)。管理組合に禁止の方針がないかの確認も要ります。
参考資料(5件)
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。