空き家を旅館業の許可で民泊に|初期費用400万円・月の純利益は平均25万円
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読了目安 約5分
執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
築45年の空き家を、旅館業(簡易宿所)の許可を取って宿にしたFさん。初期費用は約400万円、運営14か月ほど(取材時点)で、月の純利益は平均約25万円です。冬の閑散期は約8万円、夏の繁忙期は約40万円と、月による差は大きくなります。
この記事のポイント
- 初期費用は約400万円で、いちばん大きいのは建物の改修でした。改修が約220万円で、全体の半分以上です。
- 月の純利益は平均約25万円ですが、季節で大きく変わります。冬の閑散期は約8万円、夏の繁忙期は約40万円です。
- 許可は、事前相談から営業開始まで約6か月かかりました。想定外は、消防設備の費用、開業直後の低稼働、冬の光熱費の3つです。
事例の概要(取材時期:2025年12月)
築45年の空き家を、旅館業(簡易宿所(小さな宿向けの許可の種類))の許可を取って宿にしたFさん。初期費用は約400万円、運営14か月ほど(取材時点)で、月の純利益は平均約25万円です。冬の閑散期は約8万円、夏の繁忙期は約40万円と、月によって大きく変わります。自己資金150万円は、平均の純利益25万円で割ると約6か月分です。一方で、消防設備の費用が想定の約1.5倍になるなど、想定外も3つありました。費用の内訳、毎月の収支、許可取得の流れ、失敗と対処を、本人の言葉と数字で整理します。
※ 6か月分は単純な計算です。冬の少ない月、所得税、本人の作業時間は含みません。
オーナーFさん(40代・会社員・副業で運営)
物件相続した築45年の木造2階建て(延べ約90㎡)
エリア観光地から車で約10分の、地方の住宅地
営業形態旅館業(簡易宿所)の許可を取得・通年営業
定員6名
運営体制清掃は委託、予約対応と価格調整は自分で行う
運営期間14か月
空き家を民泊にする初期費用はいくら?総額約400万円の内訳
改修費が全体の半分以上を占めたのは、築45年で水回りの傷みが大きかったためです。キッチン・浴室・トイレの入れ替えに加えて、床と壁の補修が必要でした。一方、家具は新品にこだわらず、必要なものから買い足す形で費用を抑えています。

Fさん
「最初は250万円くらいで収まると思っていました。見積もりを取ってみたら、水回りだけで予算の半分近くになって、正直焦りました」
資金は、自己資金150万円と、日本政策金融公庫の創業融資250万円で用意しました。返済は月約3万円で、期間は約8年です。予算を立てるときは、見積もりの1〜2割を予備費として見込んでおくと、想定外の出費に慌てずに済みます。
月の収支はいくら?平均の純利益は約25万円、冬は約8万円
冬でも赤字にはなりませんでした。ただ、月による差は大きい事例です。月商が下がっても、返済や固定資産税などの固定費は変わらないため、閑散期は利益が大きく減ります。計画を立てるときは、平均だけでなく、最も悪い月でも続けられるかを確認してください。自己資金150万円を平均の純利益約25万円で割ると約6か月分です。
※ 冬は利益が少なく、所得税や本人の作業時間も含まないため、実際の回収はこれより長くなる場合があります。
旅館業の許可はどう取った?相談から営業開始まで約6か月
- 事前相談(約1か月)。 保健所・消防署・建築の窓口に、改修の前に相談します。
- 図面作成と改修の設計(約1か月)。 相談で分かった基準に合わせて、設計します。
- 改修と消防設備の工事(約3か月)。
- 消防署の検査、保健所への申請と施設検査(約1か月)。 許可が出て、営業を開始します。

Fさん
「一番大事だったのは、最初の事前相談です。工事を始める前に基準を聞けたので、やり直しにならずに済みました」
事前相談が、最も重要な工程です。
※ 手続きの順序や必要書類は、自治体で異なります。
うまくいかなかったことと、物件選びで確認したい6つのポイントは?
1. 消防設備の費用が、想定の約1.5倍になった。 想定は約40万円でしたが、実際は約60万円でした。対処として、設計の前に消防署へ相談し、複数の業者から見積もりを取るようにしました。
2. 最初の2か月は、稼働(部屋が埋まっていること)が約40%にとどまった。 写真を撮り直し、説明文を見直して改善しました。最初の数件のレビューを集めることを、優先しています。
3. 冬の光熱費が、想定以上にかかった。 閑散期は、最低宿泊数と価格を調整して、負担を抑えています。
物件選びで確認したい6つのポイント
- 観光地や駅から、車で15分以内か
- 駐車場を確保できるか
- 用途地域(土地の使い道を決めるルール)や管理規約で、旅館業の営業が認められているか
- 消防設備を、現実的な費用で設置できる広さ・構造か
- 清掃を委託できる業者が、近くにいるか
- 冬の需要が、極端に低くないか
Fさんが、これから始める人に伝えたいことは?

Fさん
「始める前に、必ず保健所と消防署に相談してください。それと、平均の数字だけで判断せず、一番悪い月でも続けられるかを考えておくと、安心して始められます」
この事例の取材について
- 取材時期:2025年12月。数字はオーナー本人の申告です。
- 掲載の許諾を得ており、お名前は匿名にしています。
- 数字は取材時点(2025年12月)のものです。現在の数字とは異なる場合があります。
- 個人の事例であり、収益を保証するものではありません。制度や基準は変わるため、最新の情報は各窓口でご確認ください。
ほかの事例は「民泊オーナーの事例」から読めます。関連して、「民泊新法と旅館業の違い」も参考になります。
※ 純利益は、オーナーの申告にもとづく、売上から費用を引いた額です。オーナー自身の作業時間や所得税などを含むかは、取材では確認していません。
物件や資金の進め方に迷っているときは、無料で相談できます。
よくある質問
Q空き家を民泊にするには、総額いくらかかりますか?
Aこの事例では約400万円でした。物件の状態や規模、設備で大きく変わるため、改修の前に見積もりを取ります。
Q旅館業の許可は、誰でも取れますか?
A建築・消防・保健衛生の基準を満たし、用途地域で営業が認められる必要があります。物件によっては取得が難しいため、改修の前に、保健所・消防署・建築の窓口へ事前に相談してください。
Q会社員でも、公庫の創業融資を借りられますか?
Aこの事例では借りられました。※ 審査の中身は、取材では確認していません。要件は制度ごとに変わるため、公庫の最新情報で確認してください。
Q旅館業の民泊には、年間の営業日数の上限はありますか?
A旅館業の許可を取った施設には、住宅宿泊事業法(民泊新法)のような年180日の上限はありません。ただし、地域の条例や用途地域の制限があるため、事前相談で確認します。
Q運営は自分でやるのですか?
Aこの事例では、清掃を委託し、予約対応と価格調整を自分で行っています。週に数時間の対応で回っています。
参考資料(2件)
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。