簡易宿所の許可を取るには?民泊を旅館業で始める広さ・相談先・流れ
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執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
簡易宿所の許可を取るには何をすればよいか。許可とは何か、取るまでの流れ、客室に必要な広さ、自分の家で取れそうかのチェック、保健所・消防署・建築の窓口で聞くことを、初めての人向けにまとめました。
この記事のポイント
- 簡易宿所の許可は、旅館業法にもとづく宿の営業許可です。申請先は保健所で、民泊新法(住宅宿泊事業法)の届出とは別の制度です。
- 許可までの流れは、図面づくり→建築・消防に相談→保健所に申請です。
- 客室の広さは、泊める人数で決まります。10人未満なら3.3㎡×人数以上、10人以上なら33㎡以上です。
- 宿に使う部分が200㎡を超えると、確認申請が要ります。確認申請(建築の基準に合うかを工事前に確かめてもらう手続き)は、ちょうど200㎡なら対象外です。
- 建築・消防の窓口では、まず簡易宿所の扱いを聞きます。条文に「簡易宿所」の語は出てきません。
簡易宿所の許可とは?民泊との違いは?
簡易宿所の許可は、旅館業法にもとづく、宿の営業許可です。保健所に申請し、許可が出てから営業します。
簡易宿所は、宿泊する場所を多数人で共用する構造・設備を主とする宿の種類です(旅館業法 第2条第3項)。許可を出すのは、営業する場所を管轄する都道府県知事です。保健所設置市と特別区では、市長・区長が出します(同法 第3条)。
民泊新法(住宅宿泊事業法)の民泊は、届出で始める別の制度です。簡易宿所は届出ではなく、許可を受けます。2つの違いと選び方は、民泊新法と旅館業(簡易宿所)の違いで説明しています。開業までの全体は、民泊を始めるまでの7ステップです。
この記事は、簡易宿所の許可を取ると決めた人に向けて、許可の中身を説明します。
許可を取るまでの流れは?
流れは、図面づくり→建築・消防に相談→保健所に申請の順です。どの窓口も、定員・面積・図面が決まらないと答えにくいためです。
- 図面にまとめる:泊める人数(定員)と、客室や宿に使う部分の広さを決め、図面にします。図面は、建物の造りと設備(構造設備)を示すものです。
- 建築と消防に相談する:建築の窓口と消防署に、工事の前に相談します。
- 保健所に申請する:申請書と構造設備の図面を出します。そのほかの添付書類は、自治体で増えることがあります。最初の相談で、必要書類の一覧をもらいます。
- 許可を受ける:許可が出ると、許可番号が付きます。
- 開業後の届出:申請した事項を変えたとき、営業をやめたときは、10日以内に届出をします。
※ この順は条文で決まったものではなく、私たちの考えです。自治体によって、案内される順が違う場合があります。
創業メンバーは、下田で保健所と消防署に、開業の2か月前に事前相談しました。申請は自分で行い、個人事業として許可を取っています。申請から許可までは1〜2か月でした。
※ 下田の1件の経験で、どの自治体でも同じとは限りません。
創業メンバーの経験では、許可番号がないと Airbnb で予約を受けられませんでした。
申請書に書く内容と、開業後の決まりを見る
※ 旅館業法施行規則 第1条第1項。2026年10月時点の条文です。
- 図面は、同条第2項にある「営業施設の構造設備を明らかにする図面」です。ほかの添付書類は条文になく、自治体の運用で増えることがあります。
- 申請した事項に変更があったとき、営業を停止・廃止したときは、10日以内に届出をします(第4条)。
- 宿泊者名簿は3年間保存します(第4条の二)。
自分の家で、許可を取れそうか?
取れそうかは、4つの質問で見当がつきます。数字の答えは、次の2つの節と最後の節にあります。
確認 1泊める人数
定員を決めましたか。10人未満か10人以上かで、必要な広さの式が変わります。
確認 2客室の広さ
10人未満なら3.3㎡×人数、10人以上なら33㎡以上ありますか。4人なら13.2㎡です。
確認 3宿に使う部分
床面積の合計が200㎡を「超え」ませんか。超えると確認申請が要ります。
確認 4消防
消防署に必要な設備を聞きます。消防設備の条件は、最後の節の折りたたみの表で見られます。
横にスワイプで続きを見られます
※ 用途地域など立地の条件は、この記事では扱いません。自治体に確認します。
※ 4つとも、答えが出たあとの最終判断は窓口に聞きます。この記事の数字は、窓口で話を始めるための目安として使ってください。
客室は何㎡あれば、許可の基準を満たすのか?
客室の広さは、泊める人数で決まります。許可申請で宿泊者の数を10人未満と定める場合は、3.3㎡に人数をかけた広さ以上です。10人以上なら、33㎡以上です。
ここでの広さは、客室の延床面積(客室の床の面積)です。一客室ごとの面積なので、複数の客室を持つ家で人数をどう割り振るかは、保健所に聞きます。
※ 旅館業法施行令 第1条第2項。2026年10月時点の条文にもとづく計算です。
※ 都道府県が条例で基準を足すことがあります。条例の数字は、その自治体に確認します。
定員を4人にすれば13.2㎡以上、9人にすれば29.7㎡以上です。式のうえでは、定員を減らすと必要な広さも小さくなります。定員は収入にも関わるので、窓口で相談して決めます。
条文の原文と、客室以外の設備を見る
一客室の延床面積は、三十三平方メートル(…宿泊者の数を十人未満とする場合には、三・三平方メートルに当該宿泊者の数を乗じて得た面積)以上であること。
- 計算式:3.3㎡ × 4人 = 13.2㎡、3.3㎡ × 9人 = 29.7㎡
- 階層式寝台(二段ベッドのように重ねた寝台):上段と下段の間隔は、おおむね1m以上
- 換気・採光・照明・防湿・排水:「適当な」設備(第3号)
- 入浴:宿泊者の需要を満たす規模。近くに公衆浴場があるなど支障がない場合を除く(第4号)
- 洗面:「適当な規模」(第5号)、便所:「適当な数」(第6号)
- 具体の広さや個数は条文になく、条例で足される場合があります(第7号)
- 旅館・ホテルの基準にある玄関帳場(フロント)の設備は、簡易宿所の第2項には列挙がありません
建築基準法の200㎡とは?用途変更はいつ要るのか?
宿に使う部分が200㎡を超えると、用途変更の確認申請が要ります。用途変更は、住宅を宿のように別の使い方に変えることです。確認申請は、建築の基準に合うかを、工事の前に確かめてもらう手続きです。
「超える」は、200㎡ちょうどを含みません。
※ 簡易宿所が条文の「ホテル、旅館」に当たる場合の話です。当たるかどうかは、最後の節のとおり建築の窓口に確かめます。
結論
ちょうど200㎡は対象外。200㎡を「超える」と確認申請が要ります。
200㎡の線
- 01
200㎡を超える
用途変更の確認申請が要る
- 02
ちょうど200㎡
条文は「超える」なので対象外
- 03
200㎡より小さい
確認申請の対象外
※手続きの対象外であって、建築の基準が関係しなくなるという意味ではありません。
数える広さは、建物全体の広さではありません。宿に使う部分の床面積の合計です。どこまで数えるかの細かい決まりは、建築の窓口に聞きます。
物件を買う前に確かめる点は、新築と中古、小さな宿はどちらで始める?に書いています。
条文と2019年の改正を見る
その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの
(建築基準法 第6条第1項第1号)
- 第87条第1項は、「建築物の用途を変更して第六条第一項第一号の特殊建築物のいずれかとする場合」に、この手続きを準用するとしています。
- 2019年の改正で、用途変更の確認申請が必要になる規模も見直されました。国土交通省によると、全面施行は2019年(令和元年)6月25日です。
- 改正には、延べ面積200㎡未満かつ3階建て以下の戸建住宅等を他の用途にするとき、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等にしなくてよくする内容も含まれます。
- 200㎡の線は、耐火の規制の第27条にも別の形で出てきます。第27条第1項第1号には、「階数が三で延べ面積が二百平方メートル未満のもの」を除く、という但し書きがあります。
- 第6条は「用途に供する部分の床面積」、第27条は「延べ面積」と、数え方が条文で違います。200㎡未満の3階建てなど、規模で別の規制もあります。どの規制に当たるかは建築の窓口で確かめます。
誰に何を相談すればよいのか?
窓口は3つで、聞くことがそれぞれ違います。保健所は営業の許可、消防署は消防設備、建築の窓口は用途変更の手続きです。
※ 旅館業法・消防法施行令・建築基準法にもとづく役割の整理です。2026年10月時点。
建築と消防の窓口では、最初にこう聞きます。
注意
「簡易宿所は、旅館・ホテルと同じ扱いになりますか。違う場合、どの用途として扱いますか」
理由は、建築基準法・同施行令・消防法施行令の条文に、「簡易宿所」の語が出てこないためです。簡易宿所が旅館・ホテルと同じ扱いになるかは、条文だけでは分からないので、窓口で確かめます。
条文の原文を見る
…ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎その他これらに類するもので政令で定めるもの
(建築基準法 別表第一(い)欄(二)項)
旅館、ホテル、宿泊所その他これらに類するもの
(消防法施行令 別表第一(五)項イ)
どちらも、簡易宿所が入るとは書いていません。建築基準法施行令の第137条の18と第115条の3にも、簡易宿所の記載はありません。
消防設備の条文の条件を見る
(五)項イとして扱われる場合の条文の条件
※ 消防法施行令。2026年10月時点の条文です。収容人員は、その建物に出入り・勤務・居住する人の数(従業員を含む)です(令第1条の2第3項)。
- 誘導灯:(五)項イは対象。避難が容易と認められるもので総務省令で定めるものは除く(第26条第1項第1・2号)
- 誘導標識:(一)〜(十六)項は対象(第26条第1項第4号)
- 漏電火災警報器:延べ面積150㎡以上で、壁・床・天井の下地が一定の条件の建物(第22条第1項第2号)
自動火災報知設備には、令の条文に面積や人数の条件が付いていません。小さな宿でも必要になるかは、簡易宿所がこの項に当たるかと、緩和があるかをあわせて消防署に確認します。
緩和の条件など、消防の中身は民泊・小さな宿の消防設備ガイドで説明しています。
まとめ:人数と広さを決め、図面を持って窓口へ
まず泊める人数と広さを決め、図面を持って3つの窓口へ行きます。客室は10人未満なら3.3㎡×人数、10人以上なら33㎡以上。宿に使う部分が200㎡を「超える」かも、先に見ておきます。
簡易宿所の建築・消防上の扱いは、窓口で聞いて確かめます。
※ 最終的な判断は、各窓口と、行政書士などの専門家に確認してください。
「うちの家で許可まで届くか」という段階から、開業・運営支援事業でご相談を受けています。申請書類の作成は行いません。申請は、行政書士などの専門家か窓口へご相談ください。
※ 本記事の条文は、2026年10月時点の内容にもとづきます。
よくある質問
Q簡易宿所の許可は、自分で申請できますか?
A申請書と図面を、営業する場所を管轄する保健所に出します。創業メンバーは、下田で自分で申請しました。自治体ごとに必要書類が違うことがあるため、最初の相談で一覧をもらいます。
Q定員が10人未満の場合、客室は何㎡必要ですか?
A3.3㎡に宿泊者の数をかけた広さ以上です。4人なら13.2㎡以上になります(旅館業法施行令 第1条第2項)。都道府県の条例で基準が足されている場合があるため、自治体にも確認します。
Q建築基準法の200㎡は、延べ面積のことですか?
A条文は「その用途に供する部分の床面積の合計」と書いています(第6条第1項第1号)。数え方の細かい決まりは、建築の窓口に確認します。
Q200㎡以下なら、用途変更の確認申請は要りませんか?
A確認申請の対象は、200㎡を「超える」ものです(第6条第1項第1号)。ただし、手続きがなくなるだけで、宿としての基準を確かめる必要は残ります。第27条のように、階数と面積で決まる別の規制もあります。
Q許可番号は、いつ必要になりますか?
A許可が出ると付きます。創業メンバーの経験では、許可番号がないと Airbnb で予約を受けられませんでした。
Q許可を取ったあとに、届出が要ることはありますか?
A申請した事項に変更があったとき、営業を停止・廃止したときは、10日以内に届出をします(旅館業法施行規則 第4条)。宿泊者名簿は3年間保存します(第4条の二)。
参考資料(9件)
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。