空き家を貸す契約の種類|普通借家・定期借家と、民泊の借り上げの違い
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執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
空き家を貸す契約は、期限が来たあと続くかどうかで2種類(普通借家・定期借家)。業者が借りて又貸しするサブリースは、契約の種類ではなく別の貸し方です。違いと、宿として貸すときの改修費の考え方をまとめます。
この記事のポイント
- 将来また自分で使う予定があるなら、期限で終わる契約が合う場合があります。貸す契約は2種類で、期限が来ても原則続く「普通借家」と、期限で終わる「定期借家」です。
- 業者に一括で借り上げてもらう形は、契約の種類とは別の選択肢です。サブリースは、業者が持ち主から借りて、住む人や泊まる人に又貸しする貸し方(転貸借)で、契約は普通借家でも定期借家でも結べます。
- 普通借家で貸すと、自分で使いたくなっても戻せないことがあります。貸す側から更新を断るのに正当な理由(正当な事由)が必要なためです(借地借家法第28条)。個別の判断は専門家に確認を。
- 借りた側が改修して宿にした例もあります。下田の宿では、持ち主が別にいる賃貸の家を、借りた側が約410万円かけて改修しました。
空き家を貸す契約には、どんな種類があるのか?
貸す契約は、期限が来ても原則続く「普通借家」と、期限で終わる「定期借家」の2種類です。将来また自分で使う予定があるなら、期限で終わる定期借家が合う場合があります。
空き家を貸す、3つの契約の形
業者に一括で借り上げてもらう形(サブリース)は、契約の種類とは別の選択肢です。「契約の種類」と「貸し方の形」の2つの軸で整理すると混乱しません。普通借家・定期借家は前者、サブリース(業者が借りて又貸しする形。借り上げ)は後者です。
軸1:契約の種類(更新があるかどうか)
軸2:貸し方の形(誰が借りて、誰が使うか)
国土交通省は、サブリース住宅を「貸主(サブリース業者)が建物の所有者から借りた物件を入居者に貸している、いわゆる転貸借されている住宅」と説明しています。オーナーと業者の契約は、普通借家・定期借家のどちらでも結べます。国土交通省が公表している「サブリース住宅標準契約書」は、業者と入居者の間の転貸借契約のひな形で、オーナーと業者の契約書ではありません。オーナーと業者の契約書をつくるときは、同省が公表する「定期建物賃貸借標準契約書」などが参考になる場合があります(2026年10月時点)。
普通借家で貸すと、自分で使いたくなっても戻せないことがあります。借地借家法(借りる人を守る法律)で借主が強く保護され、貸主から更新を拒むには「正当な事由」(正当な理由)が必要なためです(第28条)。一度貸すと、長期間自分で使えなくなる可能性があります。個別の判断は専門家に確認してください。
定期借家と借り上げのどちらを選べばよいのか?
「どちらか」ではなく、契約の種類と貸し方の形を、別々に選んで組み合わせます。定期借家は更新の有無の話、借り上げは貸し方の話なので、「定期借家で、業者に借り上げてもらう」という契約もあります。
将来自分で使う可能性があるなら、契約の種類は定期借家が候補です(借地借家法第38条)。結ぶときは、書面(電磁的方法も可)による契約と、更新がないことを事前に説明する書面の交付が必要です。期間が1年以上なら、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間に、借主へ終了の通知をします(2026年10月時点)。
運営の手間を省きたいなら、貸し方はサブリースが候補です。空室でも一定の家賃が支払われる契約もありますが、家賃の見直し条件、契約期間、中途解約の条件によっては、想定どおりの収入が続かないことがあります。
選ぶ順番
①将来自分で使う・売る予定があるか(定期借家か普通借家か)→ ②運営を誰が担うか(直接貸しかサブリースか)→ ③家賃の見直し・中途解約の条件、の順に決めます。
宿として貸すとき、改修費は誰が持つのか?
借りた側が改修して宿にした例があります。創業メンバーが下田で開いた宿は、持ち主が別にいる賃貸の家を借りて宿にしたもので、借り主が改修を負担しました。改修費の負担は契約ごとに違い、借り主が持つ場合は、その金額が貸主との契約期間を決める材料になります。
約410万円改修工事借り主が負担
約240万円家具・家電・備品借り主が購入
約650万円を投じた物件は、他人の所有です。契約期間が短かったり、貸主から更新を断れる契約だったりすると、回収の前に使えなくなるおそれがあります。一般に、貸主・借り主のどちらの立場でも、次の項目は契約書で確認しておきたいところです。
- 用途:宿泊施設として使うことを明記する。
- 改修の負担:誰がどこまで工事し、費用を持つか。
- 原状回復(借りる前の状態に戻すこと):契約が終わるとき、改修した部分をどうするか。
- 修繕の分担:屋根・構造など大きな修繕と、日常の小さな修繕。
- 中途解約:どちらから、どんな条件で解約できるか。
運営を任せる場合の管理会社の選び方は、「住宅宿泊管理業者とは?」、民泊新法と旅館業の違いは「民泊新法と旅館業、どちらで始める?」で説明しています。
まとめ:将来の使い方→運営者→改修費の順に決める
空き家を貸すときは、将来その家をどうしたいかで契約の種類(普通借家か定期借家か)を決め、そのうえで運営を誰が担うか(直接貸しかサブリースか)を決めます。宿として貸すなら、改修費の負担と原状回復の扱いを契約書に書いてください。
次の一歩は、候補の借り手や業者に、契約の種類・期間・家賃の見直し条件・中途解約の条件・改修費の負担を書面でもらうことです。契約書の案を、不動産会社や弁護士などの専門家に見てもらってから結んでください。
よくある質問
Q古い空き家でも借りてもらえますか?
A宿として活用する事業者であれば、古い建物の雰囲気を魅力と考えることがあります。建物の状態や立地によって条件は変わります。
Q改修費は誰が負担しますか?
A契約によって異なります。創業メンバーが下田で宿を開いたときは、他者所有の賃貸物件を借り主が約410万円かけて改修しました。所有者が負担して家賃を高めにする方法もあるため、契約書で明確にします。
Q途中で売りたくなった場合はどうなりますか?
A賃貸中の物件として売却することは可能ですが、契約の内容によっては制約があります。将来売る可能性がある場合は、定期借家契約などを検討します。
Qサブリースなら、空室でも家賃をもらえますか?
A空室でも一定の家賃が支払われる契約もあります。ただし、家賃の見直しや中途解約の条件で、収入が変わることがあります。契約前に条件を書面で確認してください。
参考資料(3件)
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。