解体200万円と言われた別荘を、週末DIYで宿に|改修費約80万円の民泊事例
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読了目安 約7分
執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
解体して売るなら200万〜300万円。使わなくても維持費は毎年かかる。祖父母が遺した別荘を前に身動きが取れなくなっていたBさんご夫婦は、週末のDIYで少しずつ改修し、民泊として再生しました。
この記事のポイント
- 解体や売却が難しい古い別荘でも、費用を抑えて宿にできた例があります。解体費は200万〜300万円と言われた別荘を、改修費約80万円で宿にしました。
- 改修費は、融資を使わず、自己資金でまかなった例です。改修は夫婦の週末作業で、約半年かかりました。
- 月商約55万円、月の費用約20万円で、月の純利益は約35万円でした。改修費80万円だけで見ると、約3か月で回収できる計算です。
事例の概要(取材時期:2025年9月〜12月)
解体して売るなら200万〜300万円。使わなくても維持費は毎年かかる。祖父母が遺した別荘を前に身動きが取れなくなっていたBさんご夫婦は、週末のDIYで少しずつ改修し、民泊として再生しました。改修費は融資なし・自己資金の約80万円、運営開始後の月商(1か月の売上)は約55万円、月々の費用(ランニングコスト、月約20万円)を引いた純利益は月約35万円です。手を動かすうちに、すれ違っていた夫婦の会話も戻ってきたといいます。資金の考え方から、始める前の確認ポイントまでをまとめます。
営業形態旅館業許可(宿泊業を営むための許可)を取得し、通年営業
取材対象Bさんご夫婦
物件祖父母から引き継いだ、築年数の古い別荘(数年間放置)
改修方法夫婦で週末DIY(約半年)
改修費総額約80万円(融資なし・自己資金)
Bさんご夫婦は、築古の別荘をどう宿に変えたのか?
Bさんご夫婦は、まず別荘の売却を不動産会社に相談しました。そこで言われたのが、「築年数が古すぎて買い手がつかず、売るなら建物を取り壊して更地にするしかない。解体費は200万〜300万円」という見立てでした。
築古の別荘は売れない?「負動産」になった経緯
最初にこの別荘の扉を開けた日のことから教えてください。

Bさん(夫)
亡くなった祖父母が使っていた別荘なんですが、数年間誰も管理せずに放置してしまっていたんです。中に入ってみると雨漏りの跡があり、床は湿気でベコベコ、カビとホコリのにおいが充満していて……正直、住めるような状態ではありませんでした。
※ 解体費は不動産会社の見立て、改修費80万円は材料費・工具代・点検費などの合計で、同じ範囲の比較ではありません。
そこから、どうして民泊として再生しようと考えたのですか?

Bさん(妻)
結婚して少し経った頃、「このまま放置していても固定資産税がかかるだけだし、思い切って売却しようか」と不動産屋さんに相談に行ったんです。そしたら、「売るなら建物を取り壊して更地にするしかない。解体費に200万〜300万円かかる」って言われてしまって。

Bさん(夫)
解体するお金なんて用意できないし、かといって毎年、使わない別荘の維持費だけが引き落とされていく。完全に身動きが取れない「負動産」(持っているだけで費用がかかる不動産)になってしまって、夫婦で頭を抱えていました。そんな時に、ネットのブログで「使っていない古い別荘や実家を、自分たちのDIYで綺麗にして民泊にし、維持費を稼いでいる人たち」の存在を知ったんです。

Bさん(妻)
夫がその記事を見せてくれて、「業者に頼むと何百万円もかかるけど、自分たちの手で直せる範囲でリフォームして民泊として回せば、維持費はトントンになるんじゃないか?」って提案してくれたんですよね。
資金がないままDIYを始めた:軽い気持ちの「週末キャンプ気分」
最初から大きな目的があったわけではなく、維持費を何とかするための選択だったのですね。

Bさん(夫)
はい、本当にそんな感じです。まとまった改装資金もなかったので、「週末にキャンプ気分で、掃除でもしながら少しずつ直していこうか」くらいの軽い気持ちでした。YouTubeのDIY動画を見よう見まねで勉強して、ホームセンターで壁紙やペンキを買い込んで、車に積んで通いました。

Bさん(妻)
最初は本当にドタバタでした(笑)。私は普段デスクワークばかりで、壁紙をまっすぐ貼るだけでも大苦戦。「なんで休みなのにこんな泥まみれにならなきゃいけないのよ」って愚痴をこぼしたりもして。でも、古い畳を剥がして、フローリングの板を一枚ずつ敷いていくうちに、工作みたいで楽しくなってきたんです。

Bさん(夫)
平日はお互い別の会社で働いていて、夜遅くに戻ると会話もほとんどなく、どこか生活がすれ違っていたんです。でも、週末に別荘へ来て、二人で同じ目標に向かってペンキを塗ったり家具を組み立てたりしていると、自然と「ここはこうしようか」「お昼は何食べる?」って会話が生まれるようになりました。
改修費はいくら?期間は?総額約80万円・約半年
改修には、どれくらいの期間とコストがかかったのですか?

Bさん(妻)
土日の休みをほとんど使って、半年くらいかかりました。材料費や工具代、最低限の電気・水道の点検費用だけで、総額約80万円に抑えました。融資は受けず、すべて自分たちの貯金(自己資金)の範囲内でやりくりしています。
改修費の約80万円は、材料費・工具代・電気と水道の最低限の点検費用の合計です。この金額を、半年かけて、土日の作業で積み上げました。
月商と純利益はいくら?月商約55万円、純利益は月約35万円
実際にオープンして、ゲストの反応や収支はいかがですか?

Bさん(夫)
最初は不安でしたが、口コミで「手作りの温かみがある」と広がっていき、現在では月商約55万円をキープしています。
月商約55万円
ランニングコスト(光熱費、固定資産税、清掃委託費、OTA(予約サイト)手数料など)約20万円
純利益約35万円
改修費の約80万円を、月の純利益約35万円で割ると、約2.3か月分です。月商とコストが同じ水準で続くと仮定すると、運営開始から3か月ほどで、改修費を回収できる計算になります。
※ 季節や口コミの状況で、月商は変わります。
※ 許可費用などは、回収の計算に含みません。
うまくいかなかったことは?始める前の確認ポイント
- 住める状態ではなかった。 雨漏りの跡、湿気でベコベコの床、カビとホコリのにおいが、最初の状態でした。
- 売るにも解体費が重かった。 売却には200万〜300万円の解体費がかかると言われ、動き出せない時期が続きました。
- 最初のDIYはドタバタだった。 壁紙をまっすぐ貼るだけでも大苦戦で、愚痴も出ました。それでも、作業を続けるうちに楽しくなっていったといいます。
解説:古い別荘・実家を宿にする前の確認ポイント
- 旅館業の許可を取るには、建築・消防・保健衛生の基準を満たす必要があります。工事の前に、保健所・消防署・建築の窓口へ相談してください。
- 別荘地では、管理組合の規約で営業が制限される場合があります。
- 老朽化した建物は、雨漏り・床下・給排水の状態を先に確認し、DIYでできる範囲と専門業者に任せる範囲を分けます。
- 許可取得や設備にかかる費用は物件によって異なります。見積もりを取ってから計画します。
古い別荘・実家を民泊にする前の確認リスト
- 売却・解体・再生の3つで、かかる費用を先に比べたか
- 雨漏りや床下など、建物の傷みを確認したか
- 別荘地や地域のルール(管理規約・用途地域(土地の使い道を決めるルール))で営業できるか確認したか
- 旅館業の許可に必要な基準を、保健所・消防署に相談したか
- 改修にかける資金と期間の上限を決めたか
Bさんご夫婦が、古い別荘を活かしたい人に伝えたいことは?

Bさん(夫)
「負動産」として家計を圧迫していた別荘が、今では自分たちの生活を豊かにしてくれる収入源に変わりました。これから始める方には、次の3つをおすすめしたいです。
- 売る場合と直す場合で、いくらかかるかを先に比べる。 私たちは「解体に200万〜300万円」と言われたことが、動き出すきっかけになりました。
- 資金と期間を決めて、小さく始める。 私たちは週末だけで半年、総額約80万円、融資なしで進めました。
- 作業を二人の共通の目標にする。 同じ目標に向かって手を動かす時間が、夫婦の会話を取り戻してくれました。

Bさん(妻)
今では週末に別荘へ来て、自分たちで綺麗にしたリビングでコーヒーを飲む時間が、一番の息抜きになっています。
この事例の取材について
- 取材時期:2025年9月〜12月。数字は取材時点のオーナー本人の申告です。
- 掲載の許諾を得ており、お名前は匿名(Bさんご夫婦)にしています。
- 数字は取材時点のものです。現在の数字とは異なる場合があります
- 本記事は個人の事例であり、収益を保証するものではありません。制度や基準は変わるため、最新の情報は各窓口でご確認ください。
ほかの事例は「民泊オーナーの事例」から読めます。関連して、「空き家を解体するか残すか」も参考になります。
改修費約80万円は、材料費・工具代・電気や水道の点検費などの合計です。
※ 旅館業の許可の費用、消防設備、家具・備品が含まれるかは、取材では確認していません。
※ 純利益は、オーナーの申告にもとづく、売上から費用を引いた額です。オーナー自身の作業時間や所得税などを含むかは、取材では確認していません。
物件や資金の進め方に迷っているときは、無料で相談できます。
よくある質問
Q築年数の古い別荘は、売れないのですか?
Aこの事例では、不動産会社から「買い手がつきにくく、売るなら建物を取り壊して更地にするしかない」と言われました。物件の状態や立地によって異なるため、複数の不動産会社に相談する方法もあります。
QDIYで直した建物でも、民泊として営業できますか?
A営業するには、旅館業の許可を取り、建築・消防・保健衛生の基準を満たす必要があります。DIYでやる範囲と専門業者に任せる範囲は、事前相談で確認しながら決めます。
Q改修費は、融資なしでも足りますか?
Aこの事例では、材料費・工具代・点検費用の約80万円を、自己資金でまかないました。※ 物件の傷みや規模によって、必要な費用は変わります。
Q夫婦で始める場合の工夫はありますか?
ABさんご夫婦は、週末の作業を「二人の共通の目標」にしました。作業のなかで会話が増え、すれ違っていた生活が変わったといいます。
参考資料(1件)
- 民泊オーナーへの取材(2025年9月〜12月)。数字はオーナー本人の申告にもとづく
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。