民泊・小規模宿で使える補助金・支援制度まとめ|申請前に知っておきたい注意点
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執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
小さな宿の開業資金のうち、補助金で賄えた額は大きくありません。下田の宿の事例、国と静岡県内の自治体の制度、予算切れの早さ、申請前の条件を、2026年10月時点の公式情報で整理します。
この記事のポイント
- 補助金は、開業資金の大部分をまかなえるとは限りません。下田の宿では、自治体の補助金は50万円でした。改修約410万円・家具備品約240万円の初期費用は、公庫の融資200万円と自己資金が中心でした。
- 補助金を使うなら、契約や発注の前に申請を済ませておきます。補助金の多くは後払いで、交付決定前の発注は対象外です。補助要項に、市内業者との契約が入る場合もあります。
- 解体費は、市町の補助で軽くなる場合があります。静岡県内の空き家の解体補助は、19市町で制度があります。上限は30万円が最も多く、最大は静岡市の100万円です。
- 補助金を狙うなら、年度の早い時期に動くのが前提です。沼津市・富士市・川根本町は、2026年度分の受付をすでに終えています。申請は年度の早い時期が前提です。
- 計画は、補助金がなくても成り立つ形で立てると安心です。そこに使える制度を上乗せする順番で考えます。
補助金は、開業資金のどれくらいをまかなえたのか?
補助金は、開業資金の大部分をまかなえるとは限りません。創業メンバーが宿を開業したときに使えた補助金は、自治体の50万円でした。
改修約410万円・家具備品約240万円の初期費用は、公庫の融資200万円と自己資金が中心でした。
※ 公庫は日本政策金融公庫。準備期間は約7か月。融資の可否や補助金の採択は、時期や制度によって異なります。
補助金の要項には、「市内の工務店との契約」が求められていました。工務店は3社に見積もりを取り、いちばん安い会社に発注しています。要項の条件と見積もりの結果を照らして、補助金を使うかを判断しました。
融資の相談では、法人名義は「宿泊業の経験がない」ことを理由に見送られ、個人名義での相談で決まりました。担当者によって対応が変わり得ると感じたため、融資や補助金がなくてもどこまでできるかを、先に設計しておく方が安全です。
資金全体の組み立ては、「小さな宿の開業資金はどう用意する?」で説明しています。
取材したオーナーの例です。自己資金100万円に、補助金(本人の申告で約150万円)と日本政策金融公庫の融資200万円を組み合わせ、総額約450万円の改装の予算を確保したCさんの例があります(補助金の受領額と制度の上限の関係は確認していません)。詳しくは「空き家を買って民泊に|補助金と公庫融資を組み合わせた事例」で紹介しています。
国の制度では、何が使えるのか?
小さな宿が検討しやすいのは、集客費用を補う小規模事業者持続化補助金と、システム費用を補うIT導入補助金です。
※ 2026年10月時点。名称・上限額・補助率は年度や公募回で変わります。まちづくりファンドは、観光立国推進基本計画(2026年3月)に、宿泊施設の整備にも活用できると書かれた支援です。小さな宿が対象になるかは、事業の規模や要件によります。
20人以下対象の規模宿泊業の従業員数
50万円通常枠の上限特例で引き上げあり
3分の2補助率基本の割合
持続化補助金は、商工会議所・商工会が窓口で、申請には確認を受けた事業計画書が必要です。自社予約サイトの制作や広告など、予約サイト(OTA)に頼らない集客づくりと相性が良い制度です。
IT導入補助金は、登録されたIT導入支援事業者を通じて、登録されたツールを導入する仕組みです。自分で選んだツールを自由に買えるわけではない点に注意が必要です。名称や枠組みは年度で変わるため、その年の公募要領で確かめます。
融資も選択肢です。日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、融資限度額が7,200万円です。返済期間は、設備資金で20年以内、運転資金で10年以内で、どちらも据置5年以内です。起業支援金の交付決定を受けた人は、特別利率の対象になります。審査の結果、希望に沿えない場合もあります。
静岡県内の自治体では、空き家の改修にいくら出るのか?
静岡県内で公式ページに載っている空き家の改修補助は、空き家バンクに登録された物件を対象にした制度が中心で、上限は20万〜50万円ほどです。宿泊施設が対象になるかは、制度ごとに異なります。
※ 2026年10月時点の各町の公式ページの記載。河津町・松崎町・森町は空き家バンク登録物件が対象です。解体は対象に書かれていません。三島市の空き家住宅活用支援事業費補助金は、地域コミュニティ用途への改修(補助率2/3・上限100万円)で、宿泊用ではありません。
制度名に「空き家」とあっても、改修後の用途が居住に限られるのか、宿泊施設でもよいのかは、制度ごとに異なります。申請の前に、改修後の使い方を窓口に伝えて、対象になるかを確かめます。
地方での起業を支える起業支援金は、地方創生の交付金(地域未来交付金)を使った制度です。東京圏から地方へ移住して起業する人などを対象に、実施する自治体が設けています。対象地域・要件・金額は自治体ごとに決まります。
空き家の探し方は、「空き家バンクの仕組みと使い方」で説明しています。
補助金を使うなら、契約や発注の前に何をしておくのか?
補助金を使うなら、契約や発注の前に申請を済ませておきます。多くは後払いで、交付決定前の発注は対象外です。補助要項に、市内業者との契約が入る場合もあります。
補助を受ける条件は、制度ごとに細かく決まっています。静岡県内の公式ページで見つかった条件を挙げます。
条件 1原則は後払い
経費を支払い、報告を経て受け取るのが一般的です。立て替えの資金が要ります。
条件 2着工前の申請
伊東市は着手の30日前まで、熱海市は契約前の申請です。先に始めると対象外です。
条件 3市内の業者へ発注
下田の補助金は市内の工務店との契約が条件でした。島田市も市内の解体業者です。
条件 4法人は対象外
静岡市・浜松市・菊川市・藤枝市は、個人所有の空き家が対象です。
条件 5使い道の制限
南伊豆町は、解体後2年以内に建築や譲渡をすると返還を求められる場合があります。
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解体費の補助は、いつまで申請できるのか?
解体費は、市町の補助で軽くなる場合があります。静岡県内の空き家の解体補助は19市町で制度があり、上限は30万円が最も多く、最大は静岡市の100万円です。
ただし、補助を狙うなら年度の早い時期に動くのが前提です。年度の早い時期に予算が尽きる制度が多く、2026年度分の受付をすでに終えた市町もあります(沼津市・富士市・川根本町)。受付の状況を見ます。
※ 2026年10月時点の各市町の公式ページの記載。解体補助の市町別の比較は「空き家を解体するか残すか」にまとめています。
まとめ:補助金は「成り立つ計画」に上乗せするもの
計画は、補助金がなくても成り立つ形で立てると安心です。私たちの宿では、補助金は50万円で、融資と自己資金が資金の中心でした。静岡県内の制度も、上限は数十万円が中心で、予算が早く尽きます。
そこに使える制度を上乗せする順番で考えます。制度の名称・上限・条件は年度で変わるため、申請の前に、最新の公募要領と窓口で確かめてください。
よくある質問
Q民泊や一棟貸しの開業費用に使える補助金はありますか?
A制度や地域によっては対象になる場合があります。集客費用であれば小規模事業者持続化補助金、改修費であれば市区町村の空き家改修補助などが候補です。静岡県内では、河津町や西伊豆町などが空き家の改修補助を設けています(2026年10月時点)。宿泊施設が対象かは制度ごとに異なります。
Q補助金はいつもらえますか?
A多くの補助金は、事業を実施して経費を支払い、実績報告の審査を経たあとに支払われる後払い(精算払い)です。そのため、いったんは自己資金や融資で立て替える必要があります。
Q副業で宿を始める個人でも補助金を申請できますか?
A制度によっては、事業として営んでいること(開業届の提出など)が条件になり、副業の個人は対象外になる場合があります。公募要領で確かめます。静岡市や藤枝市の解体補助のように、個人所有が条件で法人は対象外とする制度もあります。
Qすでに工事を始めてしまった経費も対象になりますか?
A原則として、交付決定の前に契約・発注した経費は対象外です。伊東市は解体着手の30日前まで、熱海市は契約前の申請を求めています。補助金を使うなら、発注の前に申請の時期を確認します。
Q静岡県内で、空き家の解体費に補助はありますか?
A19市町で制度があります。上限は30万円が多く、最大は静岡市の100万円です。沼津市・富士市・川根本町は2026年度分の受付を終えています(2026年10月時点)。
参考資料(6件)
- 中小企業庁「小規模事業者持続化補助金」(公募要領・各公募回)
- IT導入補助金 事務局サイト(各年度の公募要領)
- 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」
- 観光庁「観光立国推進基本計画(第5次)」(2026年3月27日閣議決定)
- 河津町「空き家活用支援補助金」、西伊豆町・松崎町「空き家改修等補助金」、森町「空き家等利活用推進支援事業費補助金」(各町の公式ページ)
- 沼津市・富士市・川根本町・島田市・静岡市・焼津市「空き家の除却(解体)補助」(各市町の公式ページ)
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。