集客・運営お金・税金

民泊の閑散期をどう乗り越える?下田の宿の月別の稼働率と料金・長期滞在の工夫

こんな方に
閑散期をどう乗り越える?

宿には、お客さんが減る時期(閑散期)があります。下田の宿の1年目は、月ごとの稼働率(部屋が埋まっている割合)が3割台まで落ちた月もありました。料金や長期滞在の工夫と、赤字の月への備えを紹介します。

この記事のポイント

  • 閑散期があっても、年間で収支が合えば続けられます。閑散期は「なくす」ものではなく、年間で見るものです。下田の宿の1年目は、月の稼働率(部屋が埋まっている割合)が33%〜71%の間で動きました。
  • 閑散期は、値下げ以外の手でも予約を保てる場合があります。写真・説明文の更新、最低宿泊日数(予約に必要な最低の泊数)の調整、週割・月割(長く泊まるほど安くする割引)で、予約と検索順位を保ちます。
  • 閑散期に大きな出費が重なると、赤字になりやすくなります。備品の買い替えなどまとまった出費の時期をずらし、資金を残しておきます。

閑散期は、稼働が落ちる月が必ず来る前提で計画する

閑散期があっても、年間で収支が合えば続けられます。閑散期は「なくす」ものではなく、年間で見るものです。この記事で伝えたいのは、閑散期は避けられないので、「落ちる月があっても年間で合う」ように組むということです。繁忙期の売上で計画すると、予約が減った月に資金が足りなくなります。

下田の宿(創業メンバーが開業した、一棟貸し)の1年目の月別の稼働率は、次のとおりです(稼働率は、部屋が埋まっている割合)。

月8月9月10月11月
稼働率58%60%52%33%
月12月1月2月3月
稼働率71%39%57%61%

※ 表は開業月の7月を除く8か月分です。

1年目の平均は約53%ですが、月の稼働率は33%〜71%の間で動き、11月は33%、1月は39%まで落ちました。平均だけを見ていると、この谷が見えません。

※ 11月と1月が落ちた理由は、分析できていません。

※ 下田の宿1軒の1年目の値です。地域や間取り、ターゲットで波の形は変わります。詳しくは借りた家を宿にした1年目の運営事例に載せています。

閑散期には、何をどうするのか?

閑散期は、値下げ以外の手でも予約を保てる場合があります。下田の宿で実際にやったことは、料金の調整だけではありません。見つけてもらいやすく、予約しやすい状態にする手も打ちました。

閑散期の手の打ち方(下田の宿)

  • 01

    写真・説明文の更新

    検索の順位を保つ

  • 02

    最低宿泊日数の調整

    予約を受けやすい条件にする

  • 03

    週割・月割

    長期滞在で穴を埋め、清掃を減らす

  • 04

    混む時期は単価を上げる

    空く時期は稼働を優先する

  1. 写真と説明文を更新する:検索での順位を保つために行います。
  2. 最低宿泊日数を調整する:予約を受けやすい条件に近づけるための調整です。
  3. 長期滞在に週割・月割(長く泊まるほど安くする割引)を付ける:清掃の回数を減らせます。下田の宿は長期の外国人が中心です。
  4. 混む時期は単価を上げ、空く時期は稼働を優先する:週末・祝日・地域のイベントの日は上げる。

料金は、開業直後は抑えてレビューを集め、高評価が5件ほどたまってから段階的に上げました。レビューがない状態で閑散期を迎えないことも、備えのひとつです。

その後の1年は、どうなったか?

下田の宿の2年目の上半期(4〜9月)は、稼働率が約66%(1年目平均は約53%)、客室単価(1室1泊の料金)が1年目の平均の約140、RevPAR(販売可能な1室1日あたりの売上)は約174でした(1年目の平均を100として比較)。5〜6月は稼働率が80%前後、7〜9月は稼働率が4〜6割台でも、単価が1年目の平均の1.7〜2.2倍になりました。

単価の使い分けとレビューの積み上がりもあって、売上全体は1年目より伸びました。

※ 閑散期の月だけを切り出した2年目の数字は公開しておらず、閑散期の手だけの効果は切り分けられていません。

※ 下田の宿1軒の値で、同じ結果を約束するものではありません。

閑散期に、運営者は何に困るのか?

閑散期に大きな出費が重なると、赤字になりやすくなります。悩みは、売上が減ることだけではありません。

  • 固定費(予約がなくてもかかる費用)は減らない:下田の宿の開業から最初の3か月(試運転期間)の月の運営費は計18万円(家賃5万円、清掃委託2万円、予約サイトの手数料などのシステム利用料8万円、光熱水費・Wi-Fi・消耗品など3万円)。このうち家賃などは、予約が少ない月も同じです。
  • 赤字の月が出る:1年目の1月は、閑散期に備品の買い替えが重なって赤字になりました。年間では利益が出ても、その月の資金は足りなくなります。
  • どこまで料金を下げるか、迷う:下げすぎると、清掃費や手数料を払ったあとに利益が残りません。

赤字の月に備えて、先に決めておくこと

備品の買い替えなどまとまった出費の時期をずらし、資金を残しておきます。先に決めておくのは次のことです。

  • 備品の買い替えは、閑散期を避ける:まとまった出費を、予約の多い月の後ろにずらします。
  • 最も落ちる月の稼働率で、資金繰りを試算する:下田の宿なら33%の月でも回るか。
  • 閑散期は整える時期にする:修繕、備品の入れ替え、写真の撮り直しに充てます。清掃・リネンの仕組みは「小さな宿の清掃・リネン運用ガイド」へ。
  • 収入の波そのものを避けたいときは、家賃を受け取る借り上げ(事業者が家を借りて、宿として運営する形)もあります。

閑散期の波に備えた運営や、家賃を受け取る借り上げの相談は、運営サポートで受けています。

取材したオーナーの例です。Fさんの宿では、月の純利益が、冬の閑散期は約8万円、夏の繁忙期は約40万円で、平均は約25万円でした。最も悪い月でも続けられるかを確かめておくことが、ポイントだと話しています。詳しくは「空き家を旅館業で民泊に|初期費用400万円・月の純利益は平均25万円の事例」で紹介しています。

よくある質問

Q閑散期に宿を閉めてもよいですか?
A

閉めることもできますが、家賃などの固定費はかかり続けます。修繕や整備にあてる期間として計画的に閉める方法もあります。

Q長期滞在の人はどうやって集めますか?
A

予約サイトで週割・月割を設定し、仕事ができる環境(デスク、Wi-Fi)を写真と説明文で伝えます。下田の宿は、長期の外国人が中心です。

Q閑散期の売上の目安はありますか?
A

地域や宿で大きく違います。下田の宿の1年目は、月の稼働率が33%〜71%でした。周辺の宿の料金と稼働を調べて、最も落ちる月で資金繰りを試算しておきます。

参考資料(1件)
  • アキヤドが運営に関わる宿(静岡県下田市)の運営記録(月別の稼働率、運営費、価格運用)

※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。

この記事を書いた人

アキヤド編集部

合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。

石原 佑真の写真

この記事の監修者

石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員

株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。

Related

あわせて読みたい記事

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

ほぼ満室でも赤字。
単価1.9倍で立て直した事例

集客・運営
空き家を活かしたい集客・運営

AirDNAで読む
小規模宿の収益と再現性

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

稼働率・客室単価・RevPAR
売上を読み解く3つの指標

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

予約サイトと自社予約
どう使い分ける?

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

小さな宿の
清掃・リネン運用ガイド

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

レビューの評価を上げる
ゲスト対応

集客・運営
空き家を活かしたい集客・運営

下田の一軒家を宿に。
約14か月で初期投資を回収

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

「民泊は大変」って
本当?

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

近隣トラブルを防ぐ
ルールづくり

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

遠方の物件でも
運営できる?

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

長期滞在のゲストに
選ばれる設備

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

予約が入る
宿のページのつくり方

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

民泊の集客は何から?
インスタの前に決めること

集客・運営
宿の運営を伸ばしたい集客・運営

民泊の清掃を個人に頼む前に
確かめること

売る・手放す
空き家を売りたい売る・手放す

放置された実家が
「小さな宿」に変わる理由

開業・手続き
空き家を活かしたい開業・手続き

民泊新法と旅館業、
どちらで始める?

お金・税金
空き家を活かしたいお金・税金

小規模宿で使える
補助金・支援制度まとめ

開業・手続き
空き家を売りたい開業・手続き

小規模宿は
新築と中古、どっちがいい?

物件・改修
空き家を売りたい物件・改修

観光地でなくても
収益物件になり得る理由

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

民泊を始めるまでの
7ステップ

観光と地域
副業で宿をはじめたい観光と地域

「暮らすように旅する」
長期滞在が広がる理由

開業・手続き
空き家を活かしたい開業・手続き

民泊・小さな宿の
消防設備ガイド

物件・改修
空き家を活かしたい物件・改修

古民家を宿に改修する
ときのポイント

貸す・任せる
空き家を活かしたい貸す・任せる

住宅宿泊管理業者とは?
委託が必要なケース

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

小さな宿の開業資金は
どう用意する?

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

宿泊税とは?
民泊は対象になる?

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

不動産投資として見る
小さな宿・民泊

観光と地域
空き家を活かしたい観光と地域

空き家の活用で
なぜ民泊が選ばれるのか

お金・税金
空き家を活かしたいお金・税金

民泊と賃貸
収入の仕組みの違い

物件・改修
空き家を活かしたい物件・改修

その空き家は
民泊に向いている?

貸す・任せる
空き家を売りたい貸す・任せる

アキヤドが
できること

開業・手続き
空き家を活かしたい開業・手続き

相談から開業までの
流れ

物件・改修
空き家を活かしたい物件・改修

遠方からの
改修工事の進め方

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

簡易宿所の許可の取り方
広さ・相談先・流れ

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

民泊は稼働率何%で黒字?
自分で計算するやり方

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

会社員の民泊副業
就業規則と20万円ルール

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

賃貸で民泊を始めるには
承諾書と管理規約

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

民泊の年180日ルール
数え方と超えたとき

物件・改修
空き家を活かしたい物件・改修

築古の別荘を週末DIYで。
改修費80万円の事例

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

空き家を買って民泊に。
補助金と融資の組み立て方

お金・税金
空き家を活かしたいお金・税金

元・仕出し屋を民泊に。
漁港の体験プランで高単価

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

会社員の民泊副業。
賃貸で始めた事例

開業・手続き
空き家を活かしたい開業・手続き

空き家を旅館業で民泊に。
初期費用400万円の事例

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

空き店舗を
サイクリストの宿に

お金・税金
空き家を活かしたいお金・税金

城下町の長屋を宿に。
融資の3つの関門

お金・税金
空き家を活かしたいお金・税金

里山の古民家を宿に。
データで融資を通す

観光と地域
副業で宿をはじめたい観光と地域

データで見る日本の観光市場と
地方が抱える5つの課題

物件・改修
空き家を売りたい物件・改修

空き家バンクの
仕組みと使い方

貸す・任せる
空き家を売りたい貸す・任せる

空き家を貸すときの
契約の種類と違い

売る・手放す
空き家を売りたい売る・手放す

相続した空き家を売るときの
3,000万円特別控除

観光と地域
空き家を売りたい観光と地域

なぜ今、空き家の
活用が注目されるのか

売る・手放す
空き家を売りたい売る・手放す

空家法の改正で
何が変わった?

売る・手放す
空き家を売りたい売る・手放す

相続登記の義務化と
最初にやること

売る・手放す
空き家を売りたい売る・手放す

空き家の維持費の
税金と見回りの金額

物件・改修
空き家を売りたい物件・改修

空き家の活用方法を
比べる

売る・手放す
空き家を売りたい売る・手放す

相続した実家を
家族で決める

物件・改修
空き家を活かしたい物件・改修

空き家は解体か、
残して直すか

無料で相談する