空き家の維持費はいくら?税金・見回りの内訳と、民泊・賃貸で賄う考え方
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執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
空き家を持つと毎年いくらかかるかを金額で示します。土地の税は評価額1,200万円で年26,600円(大津市の例)。税を軽くする決まりが外れると、税の計算のもとの金額が6倍に(実際の税額はゆるやかに上がる)。見回りは二本松市の例で1回3,000円。
この記事のポイント
- 持っているだけの土地の税は、年2万円台で済む例があります。役所が決めた土地の値段(評価額)が1,200万円の敷地なら、固定資産税は年26,600円です(市の計算例)。建物の分は別です。
- 勧告を受けるか更地にすると、土地の税が大きく増える場合があります。税の計算のもとが6倍になり、本則の場合は200万円が1,200万円になります。勧告は、敷地の税を軽くする決まりが外れる合図です。
- 見回りは、法律で回数が決まっているわけではなく、頼むなら1回3,000円ほどからです。高齢者が地域で働く団体に頼む市の例(2021年の案内)で、月1回なら年36,000円です。
- 草刈りは、機械を使えば1時間1,379円からで済む場合があります。運搬・処分費は別で、高い所の作業は頼めません。
空き家に毎年かかるお金は、いくらか?
結論
持っているだけの土地の税は、年2万円台で済む例があります。評価額(役所が決めた土地の値段)1,200万円の土地で税は年26,600円、見回りは月1回で年36,000円です。建物の分は別です。
空き家に毎年かかる主な費用
- 01
土地の税
評価額1,200万円で年26,600円
- 02
見回り
1回3,000円・月1回で年36,000円
- 03
草刈り
機械で1時間1,379円から
- 04
火災保険
状態と補償の範囲で見積もり
- 05
電気・水道
契約を続ける間の基本料金
※ 金額は説明のための例で、土地や市町村ごとに変わります。固定資産税は建物の分と、都市計画税を課す市町村ではその分が別にかかります。火災保険は、空き家として引き受けるかどうかも保険会社で異なるため、金額は載せていません。
固定資産税は、どう計算されるのか?
年2万円台で済むのは、住宅の敷地の特例で、課税標準額(税額のもとになる金額)が評価額の1/6(200㎡以下の部分)に軽くなるからです。土地の税額は、課税標準額に税率(原則1.4%)をかけて出します。
1,200万円土地の評価額大津市の例
190万円課税標準額前年度180万+10万
26,600円年の税額190万円×1.4%
この例では、評価額の1/6は200万円です。前年度の課税標準額が180万円だったため、負担調整措置(急に上がらないようにする調整)で毎年少しずつ(評価額の1/6の5%分、10万円)上がり、190万円になっています。
※ 大津市「土地の固定資産税の求め方(計算例)」(2016年公開)の例で、200㎡以下の専用住宅の敷地です。税率1.4%は原則で、市町村が条例で変えることがあります。土地の評価額は、毎年4月ごろに届く納税通知書で確かめられます。
住宅用地の特例が外れると、税はどれだけ増えるのか?
勧告を受けるか更地にすると、土地の税の計算のもとになる課税標準額が6倍になる場合があります。特例が外れた土地の課税標準額は、評価額そのものだからです。同じ評価額1,200万円で本則(原則の計算)どおりに比べると、200万円から1,200万円へ増えます。
※ 評価額1,200万円・税率1.4%で、本則どおりに計算した額です。負担調整措置があるため、実際の税額はこの額に向けてゆるやかに上がります(総務省「やさしい地方税」)。建物の分と都市計画税は含みません。
特例が外れる場面は、次の2つです。
場面 1勧告を受けたとき
管理不全空家(放置すると危険になりそうな家)や特定空家(倒壊や衛生の問題が著しい家)の指導に従わず勧告を受けると、敷地の特例が外れます。特定空家等で命令に従わない場合は、50万円以下の過料(お金の罰)もあります。
場面 2更地にしたとき
更地(建物のない土地)など、住宅が建っていない土地は住宅用地ではなく、特例の対象外です。判定は毎年1月1日の利用で行います。
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勧告の仕組みは「空家法の改正で何が変わった?」で説明しています。
※ 国土交通省「空き家対策特設サイト」「『空家法』と『2023改正空家法』」、島田市「住宅用地に対する課税標準の特例」(空地は非住宅用地で特例なし)にもとづきます。
見回りや草刈りを頼むと、いくらかかるのか?
まず、見回りは必ずしなければならないのでしょうか。見回りの回数や方法を決めた法律はありません。ただ、空家法は持ち主に、周りの暮らしに迷惑をかけないよう家を適切に管理することを求めています(努力義務)。また、傷んだ家が崩れて人にけがをさせると、持ち主の責任になる場合があります(民法717条)。遠くに住んでいて自分で見に行けないなら、頼む選択肢があります。
見回りは、シルバー人材センター(高齢者が地域で働く団体)に頼むと、1回3,000円ほどからの場合があります。福島県二本松市の2021年の案内では、基本料金が1回3,000円(月1回なら年36,000円)で、家の外から傷みや侵入の跡を見て、写真つきの報告書を郵送します。
36,000円見回り 年間3,000円×月1回
4,137円草刈り 3時間1,379円×3時間
※ 二本松市「空家の管理をサポートします」(2021年公開)の料金で、事務手数料・消費税込みです。右の2つの数字は、この単価をかけ算した目安です。料金は市ごとに違い、見回りサービスのない市もあります。
頼んでも、料金に入らないものは何か?
草刈りは、機械を使えば1時間1,379円からで済む場合があります。ただし、運搬・処分費は別で、4m以上の庭木の剪定のような高い所の作業は頼めません。二本松市の案内には、基本料金と時間単価のほかに、次の注意が書かれています。
別料金 1燃料費・材料費
作業で発生した分は、別に請求されます。
別料金 2運搬・処分費
刈った草や枝木を運んで処分する費用は、時間単価に含まれません。
割増2時間以内の作業
短い作業は、割増料金になります。
対象外高所・危険な作業
4m以上の庭木の剪定や、専門的な作業は引き受けてもらえません。
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台風のあとに屋根が傷んだ場合などは、見回りでは直せません。修繕は別に、業者へ頼む費用が要ります。
維持費を減らす・まかなうには、どんな道があるのか?
税と見回りのお金を払い続けるかわりに、手放すか、家を使って収入を得るかを考えます。道は大きく3つです。
- 管理を続ける:将来使う予定があるなら、見回りを頼んで状態を保ちます。維持費はかかり続けます。
- 売る:使う予定がないなら、傷みが進む前に手放します。税と見回りの負担はなくなります。
- 貸す・宿として活かす:家を残したまま、維持費をまかなう収入にします。
貸す・宿として活かす道では、収入だけでなく、運営側にかかる実費との差で見ます。創業メンバーが下田市で賃貸物件を宿にしたときの記録では、月々の運営費は次のとおりでした。
※ 運営側の実費の一例です。開業から3か月の試運転期間の値で、この期間の売上は約100万円、営業利益(売上から費用を引いた利益)は約45万円、稼働率(部屋が埋まっている割合)は約52%でした。空き家の維持費とは別のものです。
違いは空き家の活用方法と向き不向きで比べています。売るときの税の特例は「相続した空き家を売るときの3,000万円特別控除」で説明しています。
まとめ:税と見回りで、年にいくらかを先に出す
評価額1,200万円の土地なら税は年26,600円、見回りを月1回頼むと年36,000円です。大津市の税の例と二本松市の見回りを足すと、年に6万円ほどの目安になります。
※ 年6万円ほどの目安は、建物の分と都市計画税を含みません。金額は市によって異なります。
勧告を受けるか更地にすると、評価額1,200万円(200㎡以下)の土地なら、税は本則で6倍の計算になります。持ち続けるか、売るか、貸すかは、この数字を自分の家の評価額に置き換えて決めます。
活用が注目されている背景は、「なぜ今「空き家の活用」が注目されるのか」で紹介しています。
よくある質問
Q更地にすると、固定資産税は何倍になりますか?
A住宅用地の特例(200㎡以下の部分は課税標準が評価額の1/6)が外れるため、本則の課税標準額では6倍の計算です。評価額1,200万円なら、税額は28,000円から168,000円です。実際は負担調整措置があり、この額に向けてゆるやかに上がります。
Q見回りは、誰に頼めますか?
A市とシルバー人材センターが連携して、空き家の見回りや草刈りを受ける市があります。二本松市の2021年の案内では1回3,000円が基本料金です。サービスの有無や料金は市ごとに違うため、空き家の所在地の市に問い合わせます。
Q電気や水道は止めてしまってもよいですか?
A止めると基本料金はかかりませんが、通水や換気ができなくなります。見回りの頻度とあわせて考えます。
Q空き家でも火災保険に入れますか?
A住宅用の保険に入れない場合でも、空き家向けの条件で加入できる保険があります。保険料は建物の状態と補償で変わるため、保険会社に家の状況を伝えて見積もりを取ります。
Q維持費を収入でまかなう方法はありますか?
A住まいとして貸す、宿として活かすなどの方法があります。家を残したまま、事業者に借り上げてもらう(事業者が家を借りて運営する)方法もあります。運営側にも実費がかかるため、収入との差で見ます。
参考資料(7件)
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。