物件・改修売る・手放す

空き家は解体か、残して民泊・宿にするか|費用・税金・補助で比べる

こんな方に
空き家は解体か、残して直すか

空き家を壊すか、残して直すか。更地にしたときの土地の税、売るときの3,000万円控除、解体費の実例、補助の調べ方、残す場合の費用を整理します。具体例に静岡県35市町の補助の公式ページを使います。

この記事のポイント

  • 更地にすると、固定資産税が上がりやすくなります。住宅が建つ土地の税を軽くする仕組み(住宅用地の特例)が外れ、税の計算のもとになる金額(課税標準)が土地の価格のままになるためです。
  • 相続した古い家は、壊して売っても税が軽くなる場合があります。売った利益から最大3,000万円を引ける特例(3,000万円控除)が使える場合があります。亡くなった人が住んでいた家で、昭和56年5月31日以前の建築、売却代金1億円以下など、条件があります。
  • 解体費は、地中のがれきの有無で大きく変わる場合があります。実例は200万〜400万円台で、相場ではありません。地中に埋まっていたがれき(ガラ)で200万円増えた例もあります。
  • 解体の補助は、あっても小さい額にとどまる場合があります。補助は自治体ごとに違います。静岡県35市町の例では、解体費の補助が載っていたのは19市町で、基本の上限は30万円が最多でした。
  • 残して直すなら、壊してみて費用が増える場合があります。一例は約410万円で、下田の賃貸物件の内装改修です。持ち家の費用には当てはまりません。

空き家は、壊すか残すかを何で比べるのか?

壊すか残すかは、補助の有無だけで決めず、税・売り方・費用・補助・残す場合の中身の五つで比べると判断しやすくなります。この記事は、全国どこでも当てはまる考え方を先に示し、具体例として静岡県35市町の公式ページを調べた結果を添えています。

  1. 税:更地にすると、住宅が建つ土地の税を軽くする仕組み(住宅用地の特例)が外れ、課税標準(税の計算のもとになる金額)は価格のままになります。
  2. 売るときの特例:亡くなった人が住んでいた古い家を相続して売る場合(昭和56年5月31日以前の建築、売却代金1億円以下など)は、取り壊し後の敷地の売却も、譲渡所得(売って得た利益)から差し引ける3,000万円控除の対象になることがあります。買った家には使えません。
  3. 解体費:公的な相場の資料はなく、公開されている実例は200万〜400万円台と幅があります。見積もりは残置物(家に残された家財)・地中のガラ(埋まっていたがれき)・アスベスト(古い建材に含まれる有害な繊維)で見比べます。
  4. 補助:自治体ごとに違います。静岡県35市町の例では、解体費の補助が載っていたのは19市町で、金額は小さく、危険な空き家に絞られていました。
  5. 残す場合:壊してみるまで梁・柱・下地は見えません。創業メンバーの改修の記録から、費用と分かることを紹介します。

※ 制度や金額は年度ごとに変わります。申請や手続きの前に、自治体の窓口・税務署・税理士で最新の内容を確かめてください。

更地にすると、固定資産税はどう変わるのか?

更地にすると、固定資産税が上がりやすくなります。建物を壊して更地にすると、住宅用地の特例の対象から外れ、課税標準は価格のままになります。

総務省の「やさしい地方税」では、住宅用地の課税標準は200㎡以下の部分が価格の1/6、超える部分が1/3です。更地は横浜市の区分表で非住宅用地(特例なし)です。課税標準だけで見ると6倍・3倍の計算です。判定は1月1日時点の土地の使い方で決まります。

※ 負担調整措置(税が急に上がらないようにする調整)や都市計画税(街づくりの費用にあてる税)があるため、税額が何倍になるとは言えません。

解体するか残すかを税で比べるなら、まず手元の固定資産税の納税通知書で、いまの土地の課税標準と税額を見ます。そのうえで、次の二つの合計を並べると差が分かります。一つは、更地になったときの税の増え分(年額)に更地のまま持つ年数をかけた額と、解体費の合計です。もう一つは、残す場合の毎年の税と改修費の合計です。税額の試算は市区町村の税務課に聞けます。

建物を残していても、特例が外れることがあります。国土交通省によると、特定空家(倒壊のおそれなどがあるとして自治体が認定した空き家)や管理不全空家(放置すると特定空家になるおそれのある空き家)に指導を受け、従わずに勧告(改善を求める正式な通知)を受けると、その敷地は住宅用地の特例の対象外になります。管理不全空家が対象に加わったのは、2023年(令和5年)の空家法(空き家対策の法律)の改正からです。

自治体によっては、解体後の税の負担を和らげる減免があります(※2026年10月時点)。静岡県の長泉町と伊豆市を例に見ます。

解体後の固定資産税の減免(自治体の例)

自治体内容条件
長泉町住宅用地特例との差額相当分を3年度分減免令和6年1月2日以降に除却(取り壊し)した非居住住宅(居住者のいない住宅)の敷地で、除却前に特例を受けていた土地。所有者またはその相続人
伊豆市解体後の土地の固定資産税の一部が減免される場合がある老朽空家等除却支援事業補助金、または木造住宅除却事業の交付を受けて解体

長泉町の減免は、所有者の変更(相続を除く)、貸駐車場・資材置き場など営利目的の使用、建物の新築などがあると、その年度分で終了します。伊豆市は、解体補助の交付を受けることが減免の前提です。

長泉町には、空き家のページには解体補助が載っていませんが、耐震目的の木造住宅除却支援事業(昭和56年5月31日以前の木造住宅で、耐震診断で倒壊の危険ありと判断されたもの。対象経費の23%と30万円の低いほう。着手前に申請)があります。

固定資産税の減免は、この解体補助とは別の制度です。

解体して売ると、税の特例は使えるのか?

相続した古い家は、壊して売っても税が軽くなる場合があります。最初に確かめたいのは築年です。被相続人(亡くなった人)が住んでいた、昭和56年5月31日以前に建築された家屋を相続した場合は、取り壊したあとの敷地を売るときも、譲渡所得から最大3,000万円を差し引く(控除する)特例の対象になることがあります(国税庁 タックスアンサー No.3306、令和8年4月1日現在の法令等)。

解体して売るときの要点(国税庁 No.3306)

  • 取り壊して売る:家屋の全部を取り壊してから敷地を売る。相続から売るまで事業・貸付け・居住に使わず、取り壊してから売るまで敷地を建物などの敷地に使わない。
  • 現状で売る:家屋を現状のまま売り、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、一定の耐震基準を満たすこととなったか、家屋の全部の取壊し等が行われたときも対象です(取壊しの場合は令和6年1月1日以後の譲渡。相続から譲渡まで事業・貸付け・居住に使わないことなど、ほかの要件あり)。
  • 期限・金額:令和9年12月31日までの譲渡で、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、相続人が売る。売却代金は1億円以下。親子や夫婦など特別の関係がある人への売却は対象外。

家屋の要件の詳細や手続き、相続人が3人以上の場合の上限は、3,000万円控除の記事にまとめています。

※ 解体してから売るほうが得かどうかは、手残りが売値・解体費・譲渡所得の税額で変わるため、一律には言えません。個別の判断は、税務署・税理士にご確認ください。

解体費は、実際にいくらかかった人がいるのか?

解体費は、地中のがれきの有無などで大きく変わる場合があります。相場を示した公的な資料はないため、公開されている解体費の実例を並べます。

公開されている解体費の実例

事例金額内訳・見積もりの差
築65年の家の解体・売却(2025年)合計約400万円見積もりは200万円・400万円(もう1社は来ず)。ほかに350万円の見積もりも書かれている。200万円の業者に発注し、地中のガラで追加200万円
古家付きの土地を買って解体(2025年)見積もり約220万円相見積もり2社がほぼ同額。ほかにアスベスト調査6万円程度、外壁材から検出された分の処理20万円程度、滅失登記(取り壊した建物の登記を消す手続き)5万円程度
木造2階建て、築40年超、延べ約36坪(2025年)約310万円から約250万円業者を替えて60万円下がった

※ 面積や構造がそろっておらず、相場ではありません。

古家付きの土地の例では、埋設物の撤去・処分に約5万円かかっていますが、これは解体費とは別です。新築時の地盤調査で見つかったもので、解体工事では何も出てこなかったとのことです。

築65年の例で追加になったのは、買主から深さ2mの掘り返しを求められたためです。業者に聞いた処分単価(1㎥あたり15,000円)で試算すると約500万円になりましたが、相談の結果、追加200万円で収まったそうです。

アスベストの事前調査のルールを見る

大気汚染防止法の改正(環境省・厚生労働省が所管)により、規模や金額によらず原則すべての解体・改造・改修工事で、アスベストの事前調査が必要です。令和5年(2023年)10月1日以後に着手する建築物の解体等工事は、有資格者による調査が必要です。

2022年4月1日以降に着工する工事のうち、建築物の解体で床面積の合計が80㎡以上のものは、調査結果を都道府県等と労働基準監督署に報告します(以上、鹿児島県「石綿事前調査」の案内による。2026年10月時点)。

見積もりを比べるときは、残置物の処分、地中のガラ、アスベストの扱いを見比べると、差の理由が分かります。

自分の自治体の解体補助は、どう調べればよいのか?

解体の補助は、あっても小さい額にとどまる場合があります。解体費の補助(除却=取り壊しへの補助)は、国が個人に直接出すものではなく、市区町村ごとに内容が違います。まず、自分の自治体の公式ページで次の五つを確かめます。

  1. 探し方:「自治体名 空き家 除却 補助」で検索し、公式ページを開く。
  2. 申請のタイミング:着工前(契約前)の申請が条件か。静岡県の例では、除却後の申請を認めない市町が複数ありました。
  3. 建物の条件:築年(昭和56年5月31日以前など)、危険度の判定(不良度、耐震診断の結果)、特定空家などの条件に当てはまるか。
  4. 受付期間と予算:受付期間と、予算の残り。静岡県の例では、予算の上限に達して年度の途中で受付を終えた市町がありました。
  5. 相談窓口:空き家を担当する課の連絡先。最新の要綱は窓口で確かめます。

この五つは、次の静岡県の例から導いた見方です。静岡県の35市町では、補助の金額は小さく、対象も絞られていました。

国の制度は、個人でも使えるのか?

国の資料は市区町村向けの支援として書かれており、個人が申請するのは市区町村の補助です。

国土交通省「空き家対策総合支援事業」(令和8年度)

項目内容
補助率(所有者が除却する場合)国2/5、地方公共団体2/5、所有者1/5
除却の対象特定空家等の除却、跡地を地域活性化のために計画的に利用する除却等

読み手に関係するのは、対象が特定空家等や跡地活用に絞られている点です。次に見る静岡県の市町の多くが危険な空き家に絞っているのは、これと重なります。

※ 重なる点は私たちの推測で、国の資料に因果関係の記述はありません。

静岡県35市町を例に見ると?

「実家の空き家を壊すなら、補助が出るはず」と考えて調べ始める方もいます。静岡県の35市町の公式ページ(※2026年10月時点)では、補助はあっても金額は小さく、対象も絞られ、今年度の受付をすでに終えた市町もありました。

解体費そのものへの補助が公式ページに載っていたのは、35市町のうち19市町です。残る16市町は、補助が制度化されていないか、公式ページに載っていませんでした。

19市町補助を確認35市町のうち
4市町受付を終了今年度分

※ 2026年10月時点の各市町の公式ページの記載にもとづきます。金額や条件は年度ごとに変わり、要綱(PDF)の細部は含みません。最新の要綱は各市町の窓口で確かめてください。東伊豆町と小山町は、この集計に含めていません。

確認できた19市町の中身を整理すると、次のとおりです。

  • 上限額: 基本の上限は30万円が9市町で最多です。所有者・相続人が申請する場合の基本の上限では、静岡市の100万円が最大で、熱海市と沼津市が80万円です。南伊豆町は行政区の申請で300万円、伊豆市は土地を市に寄附する場合に300万円という例外があります。
  • 補助率: 解体費の23%から4/5まで幅があります。
  • 対象の絞り方: 11市町が「昭和56年5月31日以前の建築」を条件の一つにしています(どちらか一方でよい場合を含む)。ほかに、倒壊のおそれ、不良度の判定、特定空家などの条件があります。
  • 受付終了: 島田市、川根本町、沼津市、富士市が、予算の上限に達して今年度の受付を終えています。静岡市は当初予算分が終了で、補正予算の議決後に受付を案内する予定です。

補助が載っていなかった16市町のうち、湖西市は公式ページに「現在、空き家の解体に関する補助金は制度化されていません」と書いています。ほかの市町は、制度の有無を窓口で確かめてください。

静岡県の市町ごとの補助は、いくらで何が条件なのか?

静岡県の例では、補助率が23%〜4/5、上限が30万〜100万円で、条件はどこも細かく決まっていました。市町ごとの表は、折りたたんでおきます。

静岡県西部・中部の11市町の表を見る(※2026年10月時点)
市町補助率・上限主な条件2026年度の状況
浜松市1/3・50万円昭和56年5月31日以前、売却不可と判断された建物事前相談は12月25日まで。定員20名
静岡市母屋の1/2・100万円耐震診断で倒壊のおそれ、敷地内を更地に当初予算分は終了。12月中旬に補正で案内予定
磐田市1/2・50万円特定空家、または昭和56年5月31日以前の危険空き家受付期間は窓口で確認
袋井市23%・40〜50万円昭和56年5月以前、耐震評点1.0未満年度途中で終了の場合あり
掛川市1/2・30万円昭和56年5月31日以前の建築、耐震診断で倒壊の危険、契約前に申請予算がなくなり次第終了
菊川市23%・30万円昭和56年5月31日以前の建築、耐震診断で倒壊の危険、敷地内の建物すべてを解体着手前に申請
御前崎市実費か国の標準除却費の少ないほうの4/5・60万円市長の「危険空家」認定今年度の受付は窓口で確認
島田市23%・30万円(相続3年以内は50万円)昭和56年5月31日以前、耐震性のない木造受付停止。令和9年度は未定
焼津市1/3・30万円昭和56年5月31日以前の建築で、空き家5年以上など2027年2月28日まで
藤枝市23%・30万円(条件により50万円)昭和56年5月31日以前の建築、耐震診断で倒壊のおそれ、母屋のみ、更地にする残額が少ない。2027年2月26日までに完了
川根本町1/2・30万円昭和56年5月31日より前の建築7月31日に受付終了

出典は、各市町の公式ページです(末尾の参考資料)。袋井市には、跡地を10年以上活用する場合の別制度(除却費の4/5・60万円)もあります。

静岡県東部・伊豆の8市町の表を見る(※2026年10月時点)
市町補助率・上限主な条件2026年度の状況
伊東市1/2・30万円景観を阻害する「廃屋」。着手の30日前までに申請毎年4月1日〜12月28日。予算がなくなれば終了
熱海市4/5・80万円倒壊すると避難に支障が出るおそれ。職員が判定予算枠に達すると途中でも停止
南伊豆町4/5・50万円(行政区が申請なら300万円)昭和56年5月31日以前、空き家5年以上着手前に申請
伊豆市1/2・50万円建築物(木造住宅を除く)受付期間は窓口で確認
沼津市80%・80万円不良度100点以上、または跡地を地域活性化に利用予算は終了
御殿場市4/5・30万円不良住宅と職員が判定受付期間は窓口で確認
富士市1/2・30万円+非課税世帯は20万円加算特定空家等、または昭和56年5月31日以前で危険10月7日時点で受付終了
富士宮市4/5・50万円特定空家など、不良度100点以上解体前に事前確認

※ 伊東市と熱海市は2024年更新、南伊豆町は2023年公開のページにもとづきます。最新は窓口で確認してください。

表を読むとき、制度の違いに注意したい市町が三つあります。

  • 伊豆市: 「老朽空家等除却支援事業」は「建築物(木造住宅を除く)」が対象です。木造の空き家には、別の耐震目的の「木造住宅除却事業」(昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅。空き家を含む)が、同じ伊豆市のページに載っています。
  • 沼津市: ページに、昭和56年以前に建築された木造住宅の除却助成事業が別にあると書かれています。
  • 南伊豆町: 300万円は行政区(自治会)の代表者が申請する場合の上限で、所有者・相続人は50万円です。

下田市の公式ページには、空き家の解体への補助が載っていません。市議会の令和5年12月の会議録には、特定空き家の解体に対する補助は「要綱がない」という趣旨の答弁があります。

※ その後に創設されたかどうかは、市の窓口で確かめてください。

補助は、なぜ使いにくいのか?(静岡県の例から)

使いにくい理由は、危険な空き家に絞られていること、着工前の申請が必要なこと、予算が早く尽きることの三つです。静岡県の市町の公式ページに書かれていた点で、ほかの自治体でも同じ見方で確かめられます。

割合で見ても、補助は解体費の一部にとどまります。菊川市の公式ページの計算例では、解体費150万円の23%は34万5,000円ですが、上限が30万円のため、補助は30万円です。

浜松市は条件がさらに特殊で、売却不可と専門団体に判断された建物などが対象です。事前相談は必須で、案内を受けた人だけが申請でき、定員は20名です。

残して直すと、いくらかかるのか?壊す前に何が分かるのか?

残して直すなら、壊してみて初めて分かることがあり、費用が増える場合があります。費用の一例は、創業メンバーが宿を開業したときの改修です。このとき、壊してみて初めて、壁の中の梁・柱・下地が分かりました。

下田市の賃貸物件(他者所有)を宿に改修したときの経験です。

  • 工事費を抑えるため、間仕切り・押し入れ・古い洗面所などを自分で解体した。
  • 壊してみて梁・柱・下地が分かり、設計や家具の手配の精度が上がった。

建物ごと壊すかどうかの判断では、この「中の状態が分かってから決める」順番が参考になります。見積もりの前に、壊して構わない部分を一部だけ開けて、梁・柱・下地を見てもらうという進め方も考えられます。中が見えれば、残す案の費用も、解体の判断材料も、はっきりしやすくなります。

一例は約410万円です(賃貸物件の内装改修。解体費ではありません)。関連する数字は次のとおりです。

残して直す場合の費用の一例(創業メンバーの開業記録)

項目内容
改修工事約410万円。和室の間取りを外国人の長期滞在向けの洋室に直した費用で、建物の解体費ではない
準備期間約7か月
発注3社の見積もりを取り、最も低い会社に発注
補助金自治体の補助金50万円。要項に「市内の工務店との契約」が求められた

補助金ありきで計画を立てず、相見積もりの結果と照らして判断しました。

※ これは賃貸物件の内装改修の一例で、持ち家の空き家の改修費として一般化はできません。

古い家で、運営を始めてから分かった配線の制約

古い住居の二芯配線(単相2線式。一度に使える電気の量が限られる)のため、エアコン・冷蔵庫・電子レンジを同時に使うと制約が出ました。3芯化の工事には費用がかかり、早めに確認して資金計画に入れるべきだった、というのが学びです。

私たちは、壊すか残すかは、中が見えない状態で決めるより、配線や構造を確かめてから比べるほうが判断がぶれにくいと考えています。

※ これは建物ごとの解体ではなく、賃貸物件の内装の一部を壊した経験です。自力での解体を勧めるものではありません。

残して直す場合に使える自治体の補助も、公式ページで確認できたものがあります(静岡県の例。空き家バンクに登録した物件の改修が対象。※2026年10月時点)。

  • 河津町:改修は工事費の20%、上限20万円。
  • 西伊豆町:改修工事費の1/2、最大50万円。家財処分は4/5、最大10万円。
  • 松崎町:改修工事費の1/2または50万円の少ない額。家財処分は4/5または10万円の少ない額。

※ 松崎町は2018年公開のページにもとづきます。最新の内容は窓口で確認してください。

改修の進め方は、遠方からの改修工事の進め方の記事、古い家を直すポイントは古民家改修のポイントの記事にまとめています。

解体して売る・残して直す・古家付きで売るを比べると?

三つの道の、費用・税・補助

解体して売る

更地にして売る

  • 費用:実例では200万〜400万円台
  • 税:住宅用地の特例が外れる。
  • 取り壊し後の敷地の売却は、条件を満たせば3,000万円控除の対象
  • 補助:静岡県の例では、確認できた19市町で上限30万円が最多。
  • 危険空き家に絞られる

残して直す

直して活かす

  • 費用:一例は約410万円(賃貸物件の内装改修で、持ち家の改修費には一般化できない)
  • 税:住宅用地の特例が続く。
  • ただし勧告を受けると外れる
  • 補助:静岡県では、空き家バンク登録物件の改修への補助が3町で確認できた

古家付きで売る

建物ごと売る

  • 費用:古家付きで売ると、買主が解体する条件になることがあります。
  • 買主として解体した人の実例では、見積もり約220万円でした。
  • 税:全部が取り壊されたとき(売却の翌年2月15日までに。令和6年1月1日以後の譲渡。被相続人が住んでいた家屋など、ほかの要件あり)は、3,000万円控除の対象になる場合があります
  • 補助:解体補助は所有者の申請が前提で、売却では使えない場合がある
※解体費の実例は個人の申告にもとづき、相場ではありません。2026年10月時点。

※ 表の最後の行の「売却では使えない場合がある」は、補助の多くが所有者の申請で、除却後や契約後の申請を認めていないことからの、私たちの整理です。

取材したオーナーの例です。解体に200万〜300万円と言われた別荘を、夫婦の週末作業で約半年かけて改修し、改修費約80万円で宿にしたBさんご夫婦の例があります(80万円に許可費用や消防設備が含まれるかは確認していません)。詳しくは「築古の別荘を週末DIYで民泊に|改修費80万円・月の純利益35万円の事例」で紹介しています。

まとめ:補助は「あれば助かる」程度、判断の軸は税と売り方

壊すか残すかは、更地にしたときの税、売るときの特例、解体費の見積もり、補助、残す場合の中身で比べます。更地にすると住宅用地の特例が外れる一方、売却では取り壊し後の敷地も3,000万円控除の対象になる場合があります。

解体費は、実例で200万〜400万円台(見積もりや支払い額)と幅があり、地中のガラやアスベストで膨らむことがあります。補助は自治体ごとに違い、静岡県35市町の例では、確認できたのは19市町、基本の上限は30万円が最多でした。危険な空き家に絞られ、着工前の申請が必要で、4市町はすでに受付を終え、静岡市も当初予算分が終了しています。壊すか残すかは、補助の有無よりも、税と売り方、建物の中の状態で比べるほうが判断しやすくなります。

RIVIA&CO.の空き家再生事業では、空き家の借り上げや買取、改修、運営のご相談を受けています。「壊すしかないのか」という段階から、お気軽にご相談ください。活用の選択肢は空き家の活用方法を比べる記事、持ち続けるお金は空き家を持ち続けるお金の記事で確認できます。勧告と税の関係は空き家の法律と管理不全の記事をご覧ください。

※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の内容は各自治体の公式ページでご確認ください。

新築と中古の違いは、「小規模宿は新築と中古どっち?」で比べています。

よくある質問

Q更地にすると固定資産税は何倍になりますか?
A

住宅用地の特例(200㎡以下の部分は課税標準が1/6)が外れるため、課税標準だけで見ると6倍の計算です。※ 実際は負担調整措置や都市計画税があり、何倍とは言えません。

Q解体費の相場はいくらですか?
A

公的な相場を示した資料はありません。公開されている実例は200万〜400万円台(見積もりや支払い額)です。地中のガラやアスベストで追加費用が出た例があります。※ 面積や構造がそろっておらず、相場としては使えません。

Qすでに解体してしまった後でも、補助は申請できますか?
A

静岡県の例では、確認できた市町の多くは、着工前(契約前)の申請が必要です。掛川市は除却後の申請は不可、熱海市・富士市・富士宮市は事前に解体すると対象外と書いています。沼津市は、交付決定を受けてから契約する必要があり、契約後の物件は対象外です。

Q昭和56年6月以降に建てた空き家は、補助の対象になりますか?
A

自治体によります。静岡県の例では、掛川市・菊川市・島田市・藤枝市などは昭和56年5月31日以前の建築が条件ですが、静岡市は耐震診断の結果、熱海市は倒壊による避難への支障、沼津市は不良度100点以上で判定します。

Q静岡県の35市町で、解体の補助の上限がいちばん高いのは?
A

所有者・相続人が申請する場合の基本の上限では、静岡市の100万円が最大です(母屋の解体費の1/2以内、耐震性のない空き家が対象。※2026年10月時点)。熱海市と沼津市が80万円です。南伊豆町は行政区の申請で300万円、伊豆市は土地を市に寄附する場合に300万円です。

参考資料(38件)

※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。

この記事を書いた人

アキヤド編集部

合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。

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この記事の監修者

石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員

株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。

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空き家を売りたい観光と地域

なぜ今、空き家の
活用が注目されるのか

売る・手放す
空き家を売りたい売る・手放す

空家法の改正で
何が変わった?

売る・手放す
空き家を売りたい売る・手放す

相続登記の義務化と
最初にやること

売る・手放す
空き家を売りたい売る・手放す

空き家の維持費の
税金と見回りの金額

売る・手放す
空き家を売りたい売る・手放す

相続した実家を
家族で決める

観光と地域
空き家を活かしたい観光と地域

空き家の活用で
なぜ民泊が選ばれるのか

お金・税金
空き家を活かしたいお金・税金

民泊と賃貸
収入の仕組みの違い

貸す・任せる
空き家を売りたい貸す・任せる

アキヤドが
できること

開業・手続き
空き家を活かしたい開業・手続き

相談から開業までの
流れ

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

民泊は稼働率何%で黒字?
自分で計算するやり方

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

賃貸で民泊を始めるには
承諾書と管理規約

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

民泊の年180日ルール
数え方と超えたとき

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

ほぼ満室でも赤字。
単価1.9倍で立て直した事例

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

空き家を買って民泊に。
補助金と融資の組み立て方

お金・税金
空き家を活かしたいお金・税金

元・仕出し屋を民泊に。
漁港の体験プランで高単価

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

会社員の民泊副業。
賃貸で始めた事例

開業・手続き
空き家を活かしたい開業・手続き

空き家を旅館業で民泊に。
初期費用400万円の事例

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

空き店舗を
サイクリストの宿に

お金・税金
空き家を活かしたいお金・税金

城下町の長屋を宿に。
融資の3つの関門

お金・税金
空き家を活かしたいお金・税金

里山の古民家を宿に。
データで融資を通す

観光と地域
副業で宿をはじめたい観光と地域

データで見る日本の観光市場と
地方が抱える5つの課題

お金・税金
空き家を活かしたいお金・税金

小規模宿で使える
補助金・支援制度まとめ

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

民泊を始めるまでの
7ステップ

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

稼働率・客室単価・RevPAR
売上を読み解く3つの指標

観光と地域
副業で宿をはじめたい観光と地域

「暮らすように旅する」
長期滞在が広がる理由

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

予約サイトと自社予約
どう使い分ける?

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

小さな宿の
清掃・リネン運用ガイド

貸す・任せる
空き家を活かしたい貸す・任せる

住宅宿泊管理業者とは?
委託が必要なケース

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

予約が入る
宿のページのつくり方

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

小さな宿の開業資金は
どう用意する?

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

レビューの評価を上げる
ゲスト対応

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

宿泊税とは?
民泊は対象になる?

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

不動産投資として見る
小さな宿・民泊

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

「民泊は大変」って
本当?

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

近隣トラブルを防ぐ
ルールづくり

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

閑散期を
どう乗り越える?

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

遠方の物件でも
運営できる?

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

長期滞在のゲストに
選ばれる設備

開業・手続き
副業で宿をはじめたい開業・手続き

簡易宿所の許可の取り方
広さ・相談先・流れ

お金・税金
副業で宿をはじめたいお金・税金

会社員の民泊副業
就業規則と20万円ルール

集客・運営
副業で宿をはじめたい集客・運営

民泊の集客は何から?
インスタの前に決めること

集客・運営
宿の運営を伸ばしたい集客・運営

民泊の清掃を個人に頼む前に
確かめること

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