空き家バンクとは?仕組みと使い方、民泊に使う前に確かめたい注意点
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執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
空き家バンクは、自治体が売りたい・貸したい空き家と、使いたい人をつなぐ入口です。登録の流れ、伊豆の町で登録した物件に出る補助、宿として使う前に確かめる点を、空き家の統計とあわせて紹介します。
この記事のポイント
- 売りにも貸しにも出ていない空き家が、約386万戸あります。全国の空き家は約900万戸で、約7軒に1軒です。空き家率は13.8%。賃貸用・売却用・二次的住宅(別荘など)を除く約386万戸が、売りにも貸しにも出ていません。
- 下田市のように空き家が多い地域では、物件の候補が見つかる場合があります。空き家率は31.3%で、約3軒に1軒です。全国の約2.3倍で、売りにも貸しにも出ていない空き家が2,010戸あります。
- 空き家バンクでは、交渉や契約を自分で進める前提で使います。空き家バンクは、物件を紹介する仕組みです。値段の交渉や契約は、持ち主と借り手・買い手で進めることが多くなります。
- 登録した物件なら、改修や片づけの費用が軽くなる場合があります。改修費や家財の片づけに補助を出す町があり、河津町は改修費の20%(上限20万円)、松崎町は半額(上限50万円)です。
- 宿に使うなら、契約の前に4点を確かめておきます。仕事での利用が認められるか、民泊の「人が暮らす家」の条件、土地の使い方のルール(用途地域)、消防です。
空き家バンクは何をしてくれて、何をしてくれない?
売りにも貸しにも出ていない空き家は、全国に約386万戸あります。空き家バンクはその入口になりますが、してくれるのは物件情報の掲載と橋渡しまでです。価格交渉、契約、改修、活用の設計は、自分たちや専門家で進める前提で使います。
空き家バンクのしくみ
- 01
所有者が登録
自治体に物件の情報を届け出る
- 02
自治体が掲載
ホームページなどで紹介する
- 03
利用希望者が問い合わせ
気になる物件を見学する
- 04
交渉・契約
当事者どうし、または不動産会社を通じて
空き家バンクは、売りたい・貸したい所有者と、買いたい・借りたい利用希望者をつなぐ、自治体などの情報提供の仕組みです。自治体は情報提供が中心で、契約の仲介は行わないことが多く、宅地建物取引業者(不動産会社)が間に入る場合もあります。複数の自治体の物件をまとめて探せる「全国版空き家・空き地バンク」もあり、国土交通省が選定した事業者が運営しています。
対象になりうる家は、数字で見ると多くあります。空き家率とは、全部の家のうち空き家が占める割合のことです。
約900万戸空き家空き家率13.8%
約444万戸賃貸用2023年10月
約386万戸その他市場に出ていない
空き家900万戸の内訳は、賃貸用が約444万戸、売却用が約33万戸、別荘などの二次的住宅が約38万戸です。残りの約386万戸は、そのどれでもない空き家で、市場に出ていません。こうした家が使われるための入口の一つが、空き家バンクだと考えます。
下田市のように空き家が多い地域では、物件の候補が見つかる場合があります。下田市の空き家は4,170戸、空き家率は31.3%(全国の約2.3倍)で、そのうち2,010戸が賃貸用・売却用・二次的住宅以外の空き家です。
※ 総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(2023年10月1日時点)の推計値です。標本調査のため、端数を丸めています。
所有者として登録するには、何を先に整理する?
登録は自治体の窓口への相談から始まります。先に、相続登記(家の名義を相続した人に書き換える手続き)と家財の整理を済ませておくと、その後の手続きが進みます。
- 自治体の窓口に相談する:物件の所在地の自治体に、登録の条件と必要書類を確認します。
- 登録を申し込む:物件の情報、写真、希望価格(家賃)を提出します。
- 問い合わせに対応する:利用希望者からの問い合わせや内覧に応じます。
- 契約する:条件が合えば売買や賃貸の契約に進みます。自治体と提携する宅地建物取引業者が仲介する場合もあります。
国土交通省は、名義人が古いまま、相続人と連絡が取れない、といった状態では手続きが進まないため、登記の確認と整理を勧めています。相続登記は2024年4月から義務化されました。家財も、整理されていないと話が先に進みません。
同じ国土交通省の案内には、空き家は放置される期間が長くなるほど老朽化や損傷が進み、売買や賃貸が難しくなる、とあります。登録を迷っている間も、建物の状態は変わり続けます。
相続登記の手続きは「相続登記の義務化と最初にやること」、貸すときの契約の種類は「空き家を貸すときの契約の種類と違い」で説明しています。
登録すると使える補助は?伊豆と焼津の例
登録した物件なら、改修や片づけの費用が軽くなる場合があります。空き家バンクに登録した物件を対象に、改修や家財の処分、取得や賃借、登録の奨励金を出す市町があります。金額と条件は、市町ごとにばらつきます。
※ 2026年10月時点の各市町の公式ページの記載です。年度や予算で変わります。松崎町の要綱ページの公開日は2018年6月です。焼津市の制度は令和8年度の分で、2027年2月28日まで(予算がなくなり次第終了)、事前相談が必要です。
焼津市の例のように、登録してからの期間が条件になる制度があります。補助が使えるかどうかに、登録の時期が関わる場合があります。
宿の開業で使える補助は「小規模宿で使える補助金・支援制度まとめ」、解体の補助は「空き家は解体か、残して直すか」で説明しています。
家を探す側が宿に使うなら、登録物件の何を確かめる?
空き家バンクで家を探す人の中には、住むためではなく、宿(民泊・一棟貸し)として使いたい人もいます。宿に使うなら、契約の前に4点を確かめておきます。契約の仲介は少なく、建物の状態も自分で見る必要があるためです。事業目的での利用の可否、民泊の居住要件(人が暮らす家であること)、用途地域(土地ごとに建てられる建物を決めたルール)、消防を、契約の前に確かめます。
注意 1契約は当事者同士
価格交渉や契約は当事者同士で行う例があります。不安なときは宅地建物取引業者や専門家に相談します。
注意 2建物の状態を見る
長く使われていない家は、雨漏り・シロアリ・設備の故障が少なくありません。購入や賃借の前に専門家に見てもらいます。
注意 3事業利用の可否
自治体によっては、利用希望者の事前登録や、移住・定住の意思確認があります。宿にしたいなら、最初に伝えます。
注意 4宿にできる家か
用途地域や構造によって、旅館業や民泊ができない場合があります。消防設備の追加も含めて確かめます。
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建物の状態は、壊して初めて分かることがあります。創業メンバーが下田で借りた築古の賃貸の一軒家は、間仕切りや古い洗面所を解体して、梁・柱・下地の状態が分かりました。配線は二芯(単相2線式:電線2本の古い方式)で、エアコン・冷蔵庫・電子レンジを同時に使えず、ゲストに案内して運用しています。3芯にして電気の容量を増やす工事は費用がかかります。
空き家バンクの物件を見学するときも、分電盤(ブレーカーの箱)と配線の種類は先に見ておく項目だと考えます。
民泊の届出は、相続した空き家で将来住む予定があるなど、居住要件を満たせば可能です。手順は「民泊を始めるまでの7ステップ」、物件の見方は「その空き家、民泊に向いている?」で説明しています。
まとめ:空き家バンクは入口。登録の前後に、補助と宿の可否を確かめる
空き家バンクは、市場に出ていない空き家と、使いたい人が出会うための入口です。出会ったあとの契約、改修、活用の設計は、自分たちで進める部分が残ります。
- 登録する側:相続登記と家財を整理し、登録期間が条件になる補助がないかを、窓口で聞きます。
- 探す側:建物の状態と配線を、契約の前に専門家と見ます。
- 宿にする側:事業利用の可否、居住要件、用途地域、消防を先に確かめます。
最初の一歩は、物件の所在地の窓口に、登録の条件と、登録物件に出る補助の有無を聞くことです。売る、貸す、宿にするを同じ条件で比べたいときは、アキヤドの無料相談もご利用ください。
よくある質問
Q空き家バンクへの登録に費用はかかりますか?
A自治体によって異なりますが、登録そのものは無料の自治体があります。ただし、契約の際に宅地建物取引業者が仲介する場合は、仲介手数料がかかることがあります。函南町のように、登録に奨励金(1物件5万円)を出す町もあります。
Q空き家バンクの物件を宿として使えますか?
A物件によっては可能です。用途地域、建物の基準、自治体の方針によって制限がある場合があるため、事前に確認が必要です。民泊の届出なら、相続した空き家で将来住む予定があるなど、居住要件を満たす必要があります。
Q遠方に住んでいても登録できますか?
Aはい。所有する空き家の所在地の自治体に相談すれば、遠方に住んでいても登録できる場合があります。自治体によって条件が違うため、窓口で確認してください。
Q登録すれば、補助は必ず出ますか?
Aいいえ。補助の有無、金額、条件は市町ごとに異なり、年度の予算にも左右されます。河津町、松崎町、西伊豆町のように登録物件の改修や家財処分を支える町もあれば、制度のない町もあります。登録の前に、物件の所在地の窓口で確認してください。
参考資料(9件)
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。