相続した実家を売る・貸す・民泊にする?家族での話し合いの進め方
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読了目安 約4分
執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
相続した実家をどうするかは、家族の思いが重なり、決めにくいものです。話し合いの前に集めておきたい情報、決めておきたいこと、意見が分かれたときの考え方を整理します。
この記事のポイント
- 先送りすると、費用や手続きの負担が重なりやすくなります。名義変更(相続登記)の期限、税を軽くする決まりが外れる負担、見回りの費用が重なります。
- 話し合う前に4つの情報をそろえると、話が進めやすくなります。名義・家の状態・維持費・活かし方の見込みです。
- 窓口・費用の分け方・期限を先に決めておくと、迷いにくくなります。話し合いで最初に決めるのは、この3つです。
- 残すか手放すかで迷うなら、借り上げという道があります。借り上げは、事業者に家を借りてもらう方法です。
実家の話し合いを先送りすると、何が重なるのか?
先送りすると、費用や手続きの負担が重なりやすくなります。名義変更(相続登記)の期限、税を軽くする決まりが外れる負担、見回りの費用です。
話し合いが進みにくいのは、気持ちの話とお金の話が同じ場で混ざるからです。「手放したくない」「でも自分は住めない」「費用を誰が出すのか」が、一度に出てきます。時間がたつと増える負担を並べると、次のとおりです。
※ 2026年10月時点。市区町村や家の条件で変わります。
各制度の中身は相続登記の義務化と最初にやることと空家法の改正で何が変わったのかで説明しています。
話し合いの前に、何をそろえるのか?
話し合う前に、名義・家の状態・年間の維持費・活かし方の見込みの4つをそろえると、話が進めやすくなります。同じ資料で全員が見られるようにします。
家族の話し合いの進め方
- 01
情報をそろえる
名義・状態・維持費
- 02
選択肢を並べる
売る・貸す・宿にする
- 03
役割と費用を決める
窓口と負担の分け方
- 04
期限までに決める
先送りを防ぐ
- 家の名義と登記:誰の名義か、相続登記(名義変更の手続き)が済んでいるか。
- 家の状態:屋根・外壁・窓の傷み、雨水が入った跡。写真で残します。
- 毎年の維持費:固定資産税(毎年かかる土地・建物の税)、保険、光熱の基本料金、見回りの費用。
- 選べる活かし方と見込み:売った場合の目安、貸した場合・宿にした場合の収入の見込み。
全員が同じ情報を見ていれば、「誰が悪い」という話ではなく、数字と事実から話し合えます。維持費の内訳は空き家を持ち続けるお金に、活用方法の比べ方は空き家の活用方法を比べるにあります。
先に決めておく3つのことは何か?
窓口になる人、費用の分け方、方針を決める期限の3つを先に決めておくと、迷いにくくなります。
- 誰が窓口になるか:手続きや業者、市の空き家担当とのやりとりをする人を決めます。
- 費用をどう分けるか:維持費や修繕費を、誰がどの割合で負担するかを決めます。見回りの年36,000円のような小さな額でも、決めずにいると誰かの持ち出しになります。
- いつまでに方針を決めるか:売るなら、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までが一つの目安です。
期限を決めるときは、控除の人数条件も見ておきます。3,000万円特別控除は、相続で取得した人が3人以上のとき、2,000万円までです(令和6年1月1日以後の譲渡。国税庁)。きょうだい3人で相続した場合は、売るかどうかの判断に響きます。
「残したい」と「手放したい」で割れたら、どうするのか?
残すか手放すかで迷うなら、借り上げという道があります。事業者に家を借りてもらい、名義はそのままで家賃を受け取る形です。契約の内容によりますが、運営の手間は借り主が負います。
創業メンバーは、静岡県下田市で他者所有の家を借りて宿にしています。毎月の運営費には、家賃として5万円を含めています(開業から3か月の試運転期間=本格営業の前の様子見の期間の資料の値)。持ち主から見れば、家は手元に残ります。
ただし、改修費を誰が持つかは物件ごとに違います。下田では借り主の創業メンバーが、改修工事に約410万円、家具・家電・備品に約240万円を使いました。
家賃や契約期間は契約で決まります。貸す形にするなら、改修費の負担と家賃の条件を契約の前に家族で共有しておくと、「聞いていなかった」という行き違いを減らせると考えます。契約の種類は空き家を貸す契約の種類で解説しています。
借り上げ以外にも、きょうだいで持ち分(家の所有の割合)を分けて、住む人・費用を出す人・手放す人を決める方法があります。維持費の年額と売ったときの見込みを並べて、誰がどれを負担できるかで比べます。
活用が注目されている背景は、「なぜ今「空き家の活用」が注目されるのか」で紹介しています。
よくある質問
Q兄弟で意見がまとまりません。第三者に相談できますか?
A司法書士や税理士などの専門家のほか、売却や活用の見込みを出してくれる事業者に相談すると、比べる材料がそろって話が進みやすくなります。
Q家を残したまま、維持費の負担をなくす方法はありますか?
A事業者に借り上げてもらい、宿などとして運営してもらう方法があります。名義はそのままで、家賃を受け取れます。改修費の負担は契約で決まるため、先に確認します。
Q話し合いはいつ始めるのがよいですか?
A相続が発生したら、なるべく早く始めるのがおすすめです。相続登記には期限があり、売る場合の税の特例にも期限があります。
参考資料(4件)
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。