民泊と普通の賃貸、収入の仕組みはどう違う?売上・費用・手間を比べる
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執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
空き家を住まいとして貸す場合と、民泊(旅行者を有料で泊めること)・宿として貸す場合では、収入の決まり方が大きく違います。売上の決まり方、かかる費用、手間、収入の安定性を比べ、どちらが向くかを考えます。
この記事のポイント
- 賃貸は収入が毎月一定で、民泊は月ごとに変わります。民泊の売上は「日数 × 稼働率(部屋が埋まっている割合) × 1泊の料金」で決まります。
- 民泊の収入は月でばらつくので、数か月分で見ると判断しやすくなります。下田の宿の最初の3か月は売上約100万円で、最も多い月が約60万円、残り2か月の合計は約40万円でした。
- 毎月の運営費を先に引いて、手元に残るお金で比べます。運営費は計18万円で、内訳は家賃5万円、清掃2万円、予約サイト等8万円、光熱・消耗品3万円です。
- 収入の波が不安なら、借り上げや運営委託で安定させる道があります。借り上げは事業者が家を借りて固定の家賃を払う形で、運営委託は運営を任せる形です。
売上は、賃貸と民泊で何が違うのか?
賃貸は収入が毎月一定で、民泊は月ごとに変わります。賃貸は毎月決まった家賃で、民泊・宿は泊まった日数と1泊あたりの料金で売上が決まるからです。
賃貸と民泊、収入の仕組みの違い
民泊・宿として貸す
泊まった日数 × 料金
- 売上が大きくなる可能性
- 清掃・手数料などの費用
- 季節による波
宿の売上は「販売できる日数 × 稼働率(部屋が埋まっている割合) × 客室単価(1泊あたりの料金)」で考えます。詳しくは稼働率・客室単価・RevPARとはで解説しています。
民泊の収入は月でばらつくので、数か月分で見ると判断しやすくなります。月ごとの振れ幅は、下田の宿の最初の3か月(本格営業の前の試運転の期間)で見えます。稼働率は約52%、売上は3か月の合計で約100万円でした。最も多い月が約60万円なので、残り2か月の合計は約40万円です。同じ家でも、月によって売上は大きく違います。
その代わり、民泊は料金を需要に合わせて変えられます。週末・祝日・地域のイベントの日は上げ、開業直後は安めにしてレビューを集め、高評価が5件ほどたまってから段階的に上げました。旅行者が多い地域では、賃貸より売上が大きくなる可能性があります。
かかる費用は、賃貸とどう違うのか?
毎月の運営費を先に引いて、手元に残るお金で比べます。民泊は、清掃・予約サイトの手数料・光熱費・家具家電が運営者の負担になり、賃貸にはない費用が並ぶからです。
私たちの宿の毎月の運営費は、家賃5万円、清掃の委託2万円、予約サイトの手数料などのシステム利用料8万円、光熱水費・Wi-Fi・消耗品3万円で、計18万円でした(試運転期間の資料の値。物件は他者所有の賃貸)。3か月の売上約100万円に対して営業利益(売上から費用を引いた利益)は約45万円です。
初期費用も別にかかります。下田では改修工事が約410万円、家具・家電・備品が約240万円でした。
手間と収入の安定は、どれくらい違うのか?
賃貸は入居者が決まれば手間も収入も安定し、民泊は予約・清掃・ゲスト対応と季節の波を引き受けます。
私たちの宿は、手間を減らす仕組みを先につくりました。清掃は近隣の個人事業主に外注し、スマートロック(暗証番号などで開く電子錠)でセルフチェックイン(受付なしで入室)にして、問い合わせにはAIチャットボットを使います。現地に行くのは数か月に1回ほどです。
季節の波には、閑散期(客が少ない時期)に写真と説明文を更新し、最低滞在日数を調整して検索順位を保ちます。長期滞在には週割・月割(長く泊まるほど安くする料金)を付けると、清掃の回数も減らせます。
それでも、賃貸のように毎月同じ額が入る形ではありません。この波を引き受けたくないときの選択肢が、次の節です。
収入の波を避けたいなら、どんな貸し方があるのか?
収入の波が不安なら、借り上げという道があります。借り上げは事業者が家を借りて固定の家賃を払う形で、運営委託は運営を任せて売上から手数料を払う形です。運営委託は手間を減らせますが、売上の波はオーナーが引き受けます。
※ 借り上げの家賃・契約期間・見直しや解約の条件は契約で決まり、収益を保証するものではありません。運営委託の手数料や初期費用の分担、借り上げで改修費を事業者が持つかも、任せる業務の範囲と物件で変わり、個別の提案が前提です。
借り上げでは、売上の月ごとの波は借り主が引き受け、持ち主は契約で決めた家賃を受け取ります。運営委託では、売上の波と費用をオーナーが引き受けます。
賃貸は安定、民泊は売上の可能性と手間、借り上げはその中間と考えます。どれがよいかは、地域の需要と、どこまで関わりたいかで決まります。投資としての考え方は不動産投資として見る小さな宿・民泊でも紹介しています。
よくある質問
Q民泊のほうが必ず儲かりますか?
A必ずではありません。地域の需要、料金、稼働、費用によって変わります。私たちの宿でも、最初の3か月は、最も多い月の売上が約60万円、残り2か月の合計が約40万円と、月による差が大きくなりました。悲観的な想定でも赤字にならないかを試算してから始めましょう。
Q民泊の費用で、いちばん大きいのは何ですか?
A私たちの宿の毎月の運営費18万円では、予約サイトの手数料などのシステム利用料が8万円で最も大きく、次が家賃の5万円でした。運営を任せる場合は、その手数料もかかります。
Q賃貸と民泊を途中で切り替えられますか?
A契約の内容や届出・許可の状況によります。切り替えの可能性がある場合は、最初に契約の形を検討しておきましょう。
参考資料(2件)
- 観光庁「民泊制度ポータルサイト」
- 国土交通省「住宅宿泊事業法(民泊新法)について」
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。