住宅宿泊管理業者とは?民泊で委託が必要なケースと、管理会社の選び方
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執筆:アキヤド編集部
監修:石原 佑真
泊まっている間に家主が家にいない民泊や、部屋が6室以上の民泊は、原則として管理を専門の登録事業者(住宅宿泊管理業者)に任せる決まりです。任せる条件、仕事の範囲、選び方を国土交通省の案内をもとに解説します。
この記事のポイント
- 部屋が多い民泊や家主が不在の民泊は、管理を専門の事業者に任せる決まりです。部屋(居室)が5を超えるときと、宿泊中に家主が不在になるときが対象で、買い物などの短い外出は除きます。原則の話なので、自分の民泊が当てはまるかは窓口で確認を。
- 任せるなら、管理の仕事は1社にまとめて渡すことになります。複数社に分けたり、一部を自分でやったりはできません。
- 見積もりの前に仕事の範囲を分けておくと、費用の比べ間違いを防げます。法律で決まっている仕事と、契約で範囲を決める仕事は別物です。
- 苦情が出たときの駆けつけは、30分以内が国の目安になっています。国のガイドラインが住宅宿泊管理業者に示している目安で、交通事情で時間がかかる場合は60分以内です。
住宅宿泊管理業者への委託が必要なのは、どんなときか?
部屋が多い民泊や、家主が不在の民泊は、管理を専門の事業者に任せる決まりです。民泊新法(住宅宿泊事業法。家を宿として貸すための国の法律)の民泊では、居室(客室にする部屋)の数が5を超える場合と、宿泊者がいる間、家主が不在になる場合(買い物など日常生活の範囲内の一時的な不在は除く)のどちらかに当てはまると、管理業務を住宅宿泊管理業者に委託(任せること)する必要があります(国土交通省・観光庁「民泊制度ポータルサイト」※2026年10月時点)。これは原則の話なので、自分の民泊が当てはまるかは自治体の窓口で確認してください。
住宅宿泊管理業者は、民泊の管理を代行する、国土交通大臣の登録を受けた事業者です。ただし、家主自身が管理業者の登録を受けて自ら管理する場合は、委託は不要とされています。
1社にまとめて委託する
委託は、管理業務の全部を契約で任せる必要があります。1社の管理業者にまとめて委託する必要があり、複数の事業者に分けて委託することや、一部を家主が自分で行うことは認められません。ただし、委託を受けた管理業者が、一部を他の事業者に再委託することは、管理受託契約に定めがあれば可能です。
たとえば「苦情対応は管理会社、清掃は自分で手配」という分け方はできません。清掃を地元の事業者に頼みたい場合は、その手配を含めて管理会社と契約で決めることになります。
※ 家主が同じ建物・敷地内や隣接地に住み、自ら行う居室が5以下であるなど、一定の条件を満たすと委託が不要になる例外があります。詳しくは自治体の窓口で確認してください。
管理業者の業務は、どこまでが法律で決まっているのか?
見積もりの前に、法律で決まっている仕事と、契約で範囲を決める仕事を分けておくと、費用の比べ間違いを防げます。法律で決まっているのは、衛生・安全の確保、宿泊者名簿、周辺への説明、苦情対応と、住宅の維持保全です。実際の清掃の回数や駆けつけの体制などは、管理受託契約(管理を引き受けてもらう契約)で取り決める部分が大きくなります。
住宅宿泊管理業者が担う主な業務
- 01
宿泊者への対応
本人確認・名簿・利用ルールの説明
- 02
周辺への配慮
騒音・ごみなどの苦情への対応
- 03
衛生管理
清掃・換気・リネンの交換
- 04
安全管理
非常用照明・避難経路・設備の点検
- 05
緊急時の対応
トラブルや事故の際に駆けつける
※「法定」は法第5〜10条と維持保全で定められた業務、「契約」は契約で上乗せして決める業務です。出典:国土交通省・観光庁「民泊制度ポータルサイト(住宅宿泊管理業者の業務、管理業務の委託について)」※2026年10月時点
同じ「管理委託」でも、見積もりに含まれる範囲は会社ごとに違います。法定の業務と上乗せの業務を分けて見積もりをもらうと、比べやすくなります。
清掃・リネンの仕組みは、「小さな宿の清掃・リネン運用ガイド」で説明しています。
管理会社を選ぶときは、何を比べるのか?
苦情が出たときの駆けつけは、30分以内が国の目安です。これを含めて、次の5つを比べます。
- 対応範囲:法定の管理業務だけか、予約サイトの運用や料金設定、集客まで含むかを分けて確認します。
- 緊急時の体制:物件の近くに人がいて、夜間や早朝も動けるか。国のガイドラインは、住宅宿泊管理業者について、苦情から現地到着まで30分以内(交通手段の状況で時間がかかる場合は60分以内)を目安としています。
- 再委託(任された仕事を別の会社に回すこと)の有無:清掃などを他社に再委託する場合、その旨と再委託先が契約前に示されているかを確かめます。
- 報告の方法:清掃の状態、予約状況、売上を、どの頻度でどう報告してもらえるか。
- 費用の内訳:管理報酬に加えて、水道光熱費や備品の立替がある場合は、その精算方法まで確認します。
手数料の相場は、業務の範囲で変わります。数字だけで比べず、上の表の区分ごとに、何が含まれるかをそろえて比べてください。
実例:下田の清掃は、近隣の事業者に外注した
創業メンバーが静岡県下田市で開いた宿は、旅館業法の簡易宿所(部屋を共用する形も含む小規模な宿の区分)の許可を取った施設で、民泊新法の管理業者への委託義務の対象ではありません。そのうえで、運営の仕組みは参考になります。
- 清掃は、近隣の個人事業主・複業人材に依頼しました。
- 手順書をつくり、最初は現地で一緒に清掃して、完了後は写真で品質を確認しました。
- 開業から2か月目には、自分が現地に行かなくても回る体制になりました。
この経験から、管理会社を選ぶときも「清掃を誰が、どんな手順で、どう確認するのか」を聞くのが近道だと考えます。
遠方からの運営の仕組みは、「遠方の物件でも運営できる?」で説明しています。
まとめ:委託の可否を確かめ、範囲を分けて見積もりをもらう
居室が5を超える、または宿泊中に不在になるなら、管理業務は全部を1社に委託します。選ぶ前に、法で決まる業務と、契約で上乗せする業務(清掃・駆けつけ・予約運用)を分けてください。
次の一歩は、2〜3社に同じ条件で見積もりを依頼することです。依頼の際は、居室数、家主の在宅状況、夜間の対応の希望を伝え、業務ごとの内訳をもらいます。委託の要否は、物件の所在地の自治体の窓口でも確認できます。
よくある質問
Q管理会社への委託費用の相場は?
A業務の範囲で変わります。法定の管理業務だけか、清掃・予約運用まで含むかで内訳が違うため、数字だけで比べず、業務ごとに何が含まれるかをそろえて見積もりを取ってください。
Q自分で管理業者の登録を受けることはできますか?
A家主が住宅宿泊管理業者として登録を受け、自ら管理業務を行う場合は、委託は不要とされています。登録の要件は国土交通省の案内で確認してください。
Q旅館業の許可を取る場合も、管理業者への委託が必要ですか?
A住宅宿泊管理業者への委託は、住宅宿泊事業法(民泊新法)の制度です。旅館業法の許可で営業する場合は、旅館業法の基準に沿って運営体制を整えます。
Q清掃だけ別の事業者に頼めますか?
A管理業務の委託は1社にまとめる必要があり、家主が一部を自分で行うことは認められません。清掃を地元の事業者に任せたい場合は、管理会社との契約の中で再委託の形にできるか確認します。
参考資料(4件)
※ 本記事の数値・制度は公開日時点で公表されている資料にもとづきます。最新の情報は各機関の発表をご確認ください。
この記事を書いた人
アキヤド編集部
合同会社RIVIA&CO.のメディア編集部。空き家の再生から宿泊施設の運営・開業支援、WEB集客・採用支援まで、自ら宿を運営する当事者の視点で、地域の価値を活かすための情報をお届けします。
この記事の監修者
石原 佑真合同会社RIVIA&CO. 代表社員
株式会社リクルートの新規事業開発室で事業の立ち上げを経験し、その後ベンチャー企業で新規事業の創出と組織の拡大を牽引。RIVIA&CO.を共同創業し、空き家の再生と宿の運営・開業支援に携わる。